Monthly Archives: November 1997

No.290 慢性中耳炎とは 渡辺 建介

中耳炎には大きく分けて急性中耳炎と慢性中耳炎があります。だれでも夜も眠れぬほどの耳痛を経験したことがあると思います。たいていは風邪が治ったと安 心したころに耳痛がやってきます。咽頭(いんとう)と中耳をつないでいる耳管という管を通して咽頭の炎症が中耳に及ぶために発症します。中耳腔に膿(う み)が貯留して鼓膜がパンパンに腫れ上がるのでたいへん痛いですが、鼓膜に穴があいて排膿(はいのう)するとウソのように耳痛が消失します。抗生物質が功 を奏さないときは鼓膜切開をしてあげれば治癒は時間の問題です。ただし小児の場合、治癒したと思ったら滲出(しんしゅつ)性中耳炎に移行することがありま す。痛みがないので中耳に滲出液が貯留したまま放置されていることがありますので気を付けなければいけません。 さて今回お話ししようと思っている病気は急性中耳炎でも滲出性中耳炎でもなく、慢性中耳炎です。小児のときに急性中耳炎にかかり、その後、鼓膜に穿孔 (せんこう)が出来て閉鎖せず大人になっても長く悩まされる中耳炎です。風邪をひく度に鼓膜の穿孔部より耳漏(じろう)が出てきます。鼓膜に大きな穴があ いているので聞こえも悪いです。一口に慢性中耳炎と言っても病状はさまざまです。長年の炎症のため鼓膜が癒着したり、鼓膜の振動を内耳に伝える耳小骨が消 失したりしていると聴力はたいへん悪くなります。また、中耳に肉芽があるとなかなか耳漏が止まりません。慢性中耳炎の中でも特に注意しなければならないの は真珠塵(しんじゅしゅ)性中耳炎です。真珠腫というのは鼓膜の一部が中耳に向かって陥凹(かんおう)し、炎症を繰り返すものです。角化した上皮が陥凹し た部位にたまり奥へ奥へ大きくなっていきます。始末に悪いのはこの真珠腫は骨を溶かして大きくなる性質を持っていることです。運が悪いと髄膜炎になったり 顔面神経を阻害して顔が曲がったり、内耳を入れている骨を破壊してめまいを起こしたりします。真珠腫の場合はあまりひどくならないうちに手術を受けておい た方がよいでしょう。真珠腫でなくても慢性中耳炎は耳小骨を再建したり鼓膜を張り替えたりすれば聴こえも元に戻る可能性のある病気です。内耳や中枢がやら れてしまう老人性難聴と違い聴力を取り戻せるものですからぜひ病院で手術の相談をしてみてください。

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No.289 めまいについて 深溝 達也

めまい、と聞いて皆さんは何を連想しますか。目がまわる程の忙しさ、とはよく言いますが、めまいは昔から多忙や疲れ、それもどちらかといえばストレスの たまる頭脳労働系の仕事で起こりやすいようです。実際、めまいを訴えて来院される患者さんの中には、コンピュータをやり過ぎた人や、決算まぢかの残業で疲 労と睡眠不足、家庭のトラブルでいつもいらいらして眠れない、などさまざまな人々が含まれます。もう一つ思い浮かぶのは、乗り物酔いのとても不愉快なめま いです。私はディズニーランドのスターツアーズという乗り物でひどいめにあったことがありますが、めまい、吐き気、冷や汗でしばらく歩けませんでした。 さて、不思議に思われるかもしれませんが、めまい症は耳鼻科で治療することが多い病気です。1861年フランスのメニエルという医師が、死亡しためまい 症患者の半規管(内耳にある平衡器官)に出血を認めた症例を報告して、めまいと内耳との関連を強く示唆しました。そんなわけで、やがてめまい症を耳の専門 である耳鼻科が診るようになりました。内耳からくるめまい症の最も典型的な病気には、彼を記念してメニエル氏病という名がつけられています。 めまい症の半数くらいは内耳の平衡器官(前庭系ともいう)の病気で、典型例では発作的な回転性のめまいが起こります。特にメニエル氏病や前庭神経炎とい う病気では、激しい回転性のめまい(とその結果吐き気)が数時間から数日続きますが、このとき診察すると秦眼振紳といって眼球は勝手にぐるぐるまわってい ます。まさに目まいです。でも幸いなことに、ほとんどの症例でこのようなめまいは自然に治りますので安心してください。頑固な持続性のふらふら感といった めまいには、まれに中枢性(脳)の病気が隠れている場合もありますので注意が必要です。ともあれ、あまり根をつめて仕事をし過ぎないことが、めまいの予防 には大切だと思います。

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