Monthly Archives: June 1999

No.325 クラミジア感染症 鈴木 徹

最近話題になっているクラミジア感染症の病原体であるクラミジアは、一般の細菌と異なり、細胞のない培地では増殖できず、動物の細胞内に侵入してはじめ て増殖できる性質を持つ、一般細菌とウィルスとの中間の病原体です。クラミジアには現在4種類ありますが、病気を起こすものは3種類です。これらによって 引き起こされる病気には、眼の疾患であるトラコーマ、他に尿道炎、子宮頸(けい)管炎、新生児肺炎をはじめとする性感染症、インコ・オウム類の愛玩鳥から 感染するオウム病が知られています。 クラミジアによる性感染 症 男性の尿道炎はかつて淋(りん)菌によるものが多数を占めていましたが、最近クラミジアによる尿道炎が多くなってきています。症状は軽く、排尿の時の不 快感や掻痒(そうよう)感があり、尿道口から透明な分泌物が出て来て、下着を汚す事があります。原因はほとんどが性交渉で、オーラルセックス(女性の咽 頭)から感染する症例が増えています。症状が従来の淋菌性尿道炎に比べて軽いため、気づかずにさらに女性の配偶者に感染させる危険が高いのです。女性の場 合クラミジアは子宮頸管を初感染部として、卵管炎から骨盤内感染(下腹部・腰部痛、帯下(たいげ)の増加など)を発症しやすいのですが、無症候性も多く、 卵管周囲癒着によって卵管障害性不妊の原因ともなり、その時点ではじめて気づく場合があります。したがいまして、治療はパートナーともども行う事が原則で す。妊婦がクラミジアに感染していれば、産道感染を通じて出生児結膜炎、新生児・幼児肺炎を引き起こす危険があります。 オウム病 性感染症とは別に、クラミジアに感染したインコ・オウム類のペット鳥の分泌物や排せつ物に含まれる病原体を気道から吸入して感染するオウム病があります。症状は軽度のインフルエンザ様のものから、多臓器障害を起こす重症型までさまざまです。 *      * 診断は尿道炎の場合は尿検査で、子宮頸管炎の場合は頸管粘液検査、血中のクラミジア抗体測定で比較的簡単にわかります。オウム病の場合は医療側がその疑いを持てば簡単に診断がつきます。 治療は比較的簡単です。クラミジアに細胞壁がないため、細胞壁合成阻害によって細菌を殺すペニシリン系・セフエム系抗生物質は無効で、テトラサイクリン系・マクロライド系、一部のニューキノロン系抗菌剤が非常に有効です。

Posted in 未分類 | Comments Off on No.325 クラミジア感染症 鈴木 徹

No.324 ペインクリニックとは 村田 一也

私たちが病院にかかる時は、風邪をひいて頭やのどが痛い、食事の後に腹が痛い、重い物を持った後に腰が痛いという具合に痛みを伴う場合が非常に多く見受 けられます。また、なんとなく具合が悪い時でも痛みがなければ医者に行かずにそのまま様子を見てしまうこともよくあります。それだけ人間は痛みに関して非 常に敏感な動物であり、また痛みに弱く、痛みの苦痛と恐怖感におびえながら、痛みさえなければどんなに快適に生活ができるだろうかと思っている人も決して 少なくはないでしょう。 ペインクリニックは、痛みなく生きるための医療といえます。いつまでも続く症状によるイライラや、うつ状態からも解放し、心身ともに自立することを目指 す総合的な診療科で、ここ20年ぐらい前より注目されてきており、主に神経ブロック法(痛みのもとになる神経を薬を使って抑える)を行って、疼痛(とうつ う)の診断と治療を行う新しい臨床診療部門です。その他に、他の薬物療法、理学療法、電気刺激法、東洋医学療法、心身医学療法なども行います。 例えば、慢性の腰痛や肩が痛いために腕が上がらない五十肩を例にしてみましょう。痛みのために腰や肩を動かせない。動かせないことによって周りの筋肉等 が硬くなる。硬くなるからよけいに動かなくなってしまい、さらに痛みが強くなってしまうというような痛みの悪循環を起こしてしまいます。この悪循環を神経 ブロックを行うことによって断ち切り、痛みを治していきます。 神経ブロックの適応対象は、必ずしも痛みだけではありません。私どもが治療している主な病気は、腰痛(腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニア、変 形性脊椎(せきつい)症など)、肩こり、五十肩、むち打ち症、帯状疱疹(たいじょうほうしん)後神経痛、頭痛、顔面神経まひ、顔面けいれん、顔面神経痛、 突発性難聴、三叉(さんさ)神経痛、多汗症、鼻アレルギー、花粉症などです。 医学が発達した現在でも、原因のわからない痛みもまだあり、痛みとは何かということもわかっておりません。しかし、多くの人が痛みに苦しんで痛みと闘っています。我々は皆さんが痛みから少しでも楽になってもらおうとして治療を行っております。

Posted in 未分類 | Comments Off on No.324 ペインクリニックとは 村田 一也