Monthly Archives: November 1999

No.334 薬の使い方(抗潰瘍剤) 石川 茂子

胃痛、胸やけ、胃もたれといった症状は、誰もが一度は経験することで、胃薬を常備しているご家庭が多いことと思います。 私たちの胃では、胃酸や消化酵素により食べ物を消化します。胃壁の表面は、消化作用をもつこの胃酸や消化酵素の攻撃から自分の胃を守るための粘膜や粘液 で保護されています。健康な胃では、この攻撃と防御のバランスが保たれています。ところが、ストレス、暴飲暴食、薬などにより、バランスが崩れ、胃酸が過 剰になると、粘膜が傷つき、消化性潰瘍ができると言われてきました。最近では、潰瘍の発生にヘリコバククー・ピロリ菌という細菌の関連性が注目されていま す。 潰瘍の薬には、攻撃を抑えるもの、防御を補強するものなど種々あります。なかでも、胃酸の分泌を抑えるH2ブロッカー(ヒスタミンH2受容体拮抗剤)が 1982年我が国で臨床の場で用いられるようになり、潰瘍の治癒率が上がり、外科手術が減りました。最近では、H2ブロッカーよりさらに強力に胃酸を抑え るプロトンポンプ阻害剤という薬が登場しましたが、ここではH2ブロッカーを中心に話をしていきます。 「H2ブロッカー」どこかで耳にしたことはありませんか?元来、医療機関で消化性潰瘍、胃炎の診断のもとで投薬されていましたが、1997年9月から薬 局でも購入できるようになり、テレビのコマーシャルにも登場するようになりました。胃痛、胸やけ、胃もたれなどの症状がでた場合、所定量を1回服用し、 4~8時間たっても治らなければ、もう1回服用します。薬によって効果の持続する時間が違いますので、1日に服用できる回数、服用の間隔は多少異なりま す。アルコール摂取は薬の血中濃度を高めることがあるので控えてください。消化性潰瘍や胃炎で医師より処方され、所定量を定時間帯に毎日服用するのとは異 なった飲み方です。 肝臓、腎臓、血液の病気、ぜんそくやリウマチなどの免疫系の病気で医療機関にかかっている方、高血圧や不整脈の薬抗生物質、ステロイド、てんかんの薬な どを飲んでいる方、薬を飲んで過敏症を起こしたことがある方は必ず医師や薬剤師に相談してください。また、副作用として発疹、かゆみ、呼吸困難、発熱、食 欲不振、便秘、下痢などの症状が現れることがありますから、疑わしい場合は医師、薬剤師に相談してください。3日間服用しても治らない時は(薬で症状が治 まっても)病気が隠れている可能性がありますから、医療機関の受診をお勧めします。

Posted in 未分類 | Comments Off on No.334 薬の使い方(抗潰瘍剤) 石川 茂子

No.333 薬の使い方(せき止め) 多田 英世

せきは、たんやそのほかの刺激によって気管支の筋の収縮が起こると、その収縮がせきの受容体を刺激し、その興奮が神経(迷走神経)を伝わって、脳(延 髄)のせき中枢へ伝達されることによって発生すると考えられています。すなわち、せきは何らかの生体の防衛反応といえます。 せき止めは大きく2つに分けられます。1つは中枢性鎮がい剤でせき中枢に直接抑制的に作用するもので、もう1つは末しょう性鎮がい剤で気管支の筋の収縮の段階で作用するものです。そのほか、たんを出しやすくする去たん剤と呼ばれるものがあります。 せき止めの薬を使用するにあたっては、まず、せきの原因が何であるかを明らかにする必要があります。いつからどのように起こってきたのか、せきのよく出 る時間帯があるのか、せきは湿性(たんを伴う湿ったせき)なのか乾性(乾いたせき)なのか、ほかに伴う症状はないのかどうか、現在または過去に治療を受け ていることはないか、住居あるいは職場での環境はなどなど。そしてせきが長く続くことによって起こる体に不利益なことを取り除くために、せき止めを使うこ とになるわけです。 原因によってはせき止めを使ってせきを止めてしまうと気管内部に分泌物が貯まり、体に好ましくないこともありますので注意が必要です。例えば、分泌物の 多い乳幼児のせきでは主に末しょう性鎮がい剤や去たん剤を使うことが多いのですが、中枢性鎮がい剤を頻回、長期に使用するとたんの喀出を妨げ、かえって経 過を長引かせることになってしまいます。いわゆる風邪のごく初期で乾いたせきのときでしたらあまり問題はないかと思いますが、ぜんそく性の場合も含め、な るべく使わないほうがよろしいでしょう。夜間のせきがひどく睡眠が妨げられるような場合や体力が消耗してしまうようなときに頓服として使用するのが無難で す。 成人でせきがある場合は、喫煙者でしたらまず禁煙する必要があります。喫煙しながらせき止めを飲むのは言語道断と言えましょう。ある種の降圧剤(ACE 阻害剤と呼ばれています)でもせきが長く続く場合があります。せきの原因はさまざまです。長引くせきの場合は医師にご相談ください。あくまでもせきの原因 を明らかにしたうえで、基礎疾患に対する治療とせきに対する治療を並行して行わなくてはなりません。

Posted in 未分類 | Comments Off on No.333 薬の使い方(せき止め) 多田 英世