Yearly Archives: 2003

No.385 鬱病について 南埼玉病院 瀬戸 睿

鬱病は率直なところ厄介な病気です。まず診断が難しく、鬱状態を示していてもすべてそれを鬱病と言う事は出来ません。最愛のお子さんを突然亡くしたり、突然癌がんと宣告されたりリ、ストラにあって職を失ったりすれば、落ち込むのは当たり前です。しかしその状態を鬱病と診断するのはなかなか難しく、また多くの人は鬱状態であっても診察を受けたりせず、時の経過とともに自然に癒されています。鬱病は時がいくら経っても癒されることがなく、どんどん深みにはまっていくため、周囲からおかしいと思われ来院し、鬱病と診断されることがほとんどであります。それに鬱病と診断されても、その原因を探ることも大変です。たとえば肝炎の治療薬であるインターフェロンを注射した場合や、甲状腺機能低下症の人や脳梗こう塞そく後にも鬱病が見られることがあります。このような原因で鬱病になる場合と原因がはっきりせず、自然に鬱病になる内因性の鬱病と言われるものや、ストレスが原因で鬱病になる心因性の鬱病もあります。もちろんそれらの複合したものもあり、それらをきちんと鑑別することが必要です。 次に治療です。まずその人にあった薬を見つけるのが大変で、しかも見つかってもその薬が効果を現すまでに時間が掛かります。ですから直ぐに効かないといって止めてしまうと元も子もなくなってしまいます。またカウンセリングの必要な鬱もあります。どんな治療がその人に最適なのか見つけ出すのに医師は大変苦労します。しかも鬱病になっているその人自身は、病気と思っていることは少なく、自分の性格や意志が弱いからだと思い込んでいることも多いのです。ですから治ると患者さんに説明しても信用してくれないこともあり、またきちんと薬を飲む人は欧米の調査では16分の1というデータもある位です。 鬱病はありふれた病気ですが、治療を受ける人の割合がかくも少ないということは残念です。落ち込んで何もやる気が起こらなくなったらすぐに精神科に行き、相談されることが何より大事なことです。

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No.384 女性の皮膚疾患「特にニキビについて」 西川皮膚科医院 西川 千香子

皮膚は人の外側を覆っているため、皮膚自体の病変以外に内臓疾患や構神的な悩みにも左右されます。特に女性ということを考えると女性ホルモンに伴う妊娠時の皮膚の変化や、更年期の皮膚の冷え、ほてり、痒かゆみや足底の硬い変化、また家事や育児による手荒れ、お化粧による長期的な顔のかぶれなど外観的・美容的問題も男性より大きいと思います。今回はこの中でも若い女性が気になるニキビを取り上げました。 俗に青春のシンボルといわれるニキビですが、いまや健康のバロメーターともいえます。原因は脂の分泌が盛んになり、毛穴をふさぎ、弱毒のニキビ菌が増殖し、炎症を起こすことです。本来は生理的なことが異常に働いて発症するのですから、体質もありますが年齢がいけば自然に要因は少なくなり軽快していくはずです。しかし若い学生さんに限らず働き始めた女性の多くは、仕事や職場のストレスが生活の不規則やホルモンの不調を引き起こし、治りにくいケースも少なくありません。 治療は化膿を抑える抗生剤や皮脂分泌を整える漢方製剤、ビタミン剤を投与しますが、それに頼らず家庭でのスキンケアや免疫能に関する生活習慣が大切といえましょう。 スキンケアに関しては、洗顔やイオウ含有の塗り薬の脱脂作用や、悪化時の殺菌消炎力のある軟膏の使用ももちろん必要です。しかしやりすぎるとかえって肌の状態を悪化させるため、刺激にならない程度に肌の汚れを取り除き、保湿も心がけることが大事です。またお化粧によりかえって毛穴を詰まらせてしまうので、油成分の少ない化粧品を使用し、コールドクリームやマッサージによる刺激は避けたほうが良いと考えます。 また、額やあごに毛髪や洋服がかかるのも良いことではありません。食生活も間食、特に糖分は少し控え、食物繊維を多くとり便秘の改善を心がけ、ストレス解消、適度な運動、十分な睡眠など規則正しい毎日の生活が基本です。薬や美容的方法に期待しすぎず、本来のより良い生活を長期に続けていけば必ず良くなってきます。 皮膚のトラブルはやはり人間生活の鏡であり、体調を映す側面と考えていただいて、心身ともに健康な生活を送っていただきたいものです。

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No.383 結核 なつクリニック 松村 公人

撲滅が可能かと思われた結核は増加して、4年前には「結核緊急事態宣言」が厚生省(現厚生労働省)から出される事態になっています。 一般の感染症とは違い、結核では感染しても直ちに発病せず、菌が長い間生体内に潜伏して、抵抗力が低下した時に発病します。しかし、実際の発病様式は、まだはっきりとは解明されてはいません。 結核菌を弱毒化し病原性をなくした「BCG生菌ワクチン」は、4歳までに(通常生後3か月から可能)初めて接種がなされます。誕生後早くから施行するのは、乳幼児では生命にかかわる結核性髄膜ずいまく炎や全身播種はしゅ性粟粒ぞくりゅう結核を予防するためです。 BCGは10~15年でその効果は減少し、これ以後は結核に無防備状態となります。この時期にBCGの再接種が考えられますが、その効果は一般的には否定的です。BCGは生菌ワクチンで、健康人では安全ですが、免疫状態が低下した人は危険です。非生菌ワクチンでBCG以上の効果が期待できるワクチンが待たれる現状です。 結核の免疫が成立したかはツベルクリン皮内反応(ツ反)で判定し、ツ反が陽性の場合は一応結核に対する免疫があると判定されます。しかしツ反では、結核が十分防御できる状態になっているかは判定できません。 結核は、初期は全身的には微熱(特に夕方)、倦怠感、食欲不振、寝汗、体重減少が、気管支・肺症状としては、咳、痰、血痰、胸部痛、呼吸困難等が見られます。これらの症状が見られたら、直ちに医療機関で結核の有無を検査してください。現在では、強力な抗結核薬でしかも短期間で治療できます。早期発見が重要で放置されますと、結核は伝染力が強く、周囲家族、職場での集団感染のもとになり多大な迷惑となります。 飽食による生活習慣の乱れ、高齢化社会の到来、航空機の往来で国境なきグローバル化等、結核の温床となる条件で満たされている現在では、結核に対する一層の関心が肝要と思われます。

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