Yearly Archives: 2004

No.397 結核: 乳幼児、学童、成人への対策が改定されました なつクリニック 村松 公人

乳幼児では結核に罹患りかんする頻度は低く、来年4月からはツベルクリン反応検査(ツ反応)は省略されBCGの直接接種となります。従来のツ反応とBCG接種のために2度医療機関を受診する負担はなくなります。結核の予防にはBCG接種は大切で、特に乳幼児では結核性髄膜炎ずいまくえんや粟粒ぞくりゅう結核等の死に直結する重症結核の予防に極めて有効で、その予防効果は10年以上持続します。 結核予防法に定められたBCG接種は4歳までにとなっていますが、出来るだけ早期に特に6カ月以内に接種される事が推奨されます(来年4月からBCG接種は生後6カ月過ぎると任意接種となり全額自己負担となる見込みです)。生後4カ月検診で医療機関を受診される際に同時に接種されるのが最良でしょう。入学前にBCG接種を忘れますと、学校という集団生活の中に無防備な状態で送り込まれ、結核感染児童が紛れていますとたちまち感染し集団感染の危険にさらされます。 昨年から小・中学校1年生のツ反応やBCG接種をする制度は患者発見率が低い事から廃止されていますので、乳幼児の時期にBCG接種もれの児童は接種する機会がありません。学校ではツ反応に代わり、聞き取り調査(問診票)に変わっています。問診の要点は、過去に結核にかかったか、家族に結核患者が同居しているか、結核の予防内服を受けた事があるか、結核蔓延の海外居住経験、自覚症状(咳せき・痰たんが2週間以上持続)、小児期でのBCG接種の有無等です。これら問診を参考にして、結核対策委員会で精密検査対象者が選定されます。 高校生では問診は困難ですから、高校1年生時に1回胸部X線検査が施行されます。 大学生は現、行の結核予防法が18歳以上は毎年胸部X線検査による健康診断を行うとなっていますのでこれを踏襲とうしゅうします。この毎年の検診が結核検診の効率からは問題で将、来は変更される可能性があります。40歳以降では、毎年肺がん検診を兼ねて結核検診が施行されています。 以上が結核対策の概要ですが、現在までまだBCG接種をされていない場合は初回接種は発病予防に有効ですので接種を薦めます。

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No.396 子宮筋腫について 高見沢産婦人科医院 高見沢 実

子宮筋腫とは、子宮筋層を構成する平滑筋が、こぶのように球形を呈して腫大する良性腫瘍です。発育する方向により奨膜下、壁内、粘膜下筋腫に区別されます。多くは多発性です。大きさは微小なものから成人頭大までさまざまです。摘出された子宮筋腫の重さですが、大きいものでは外国の報告で、数十誅といったケースもあります。さすがに日本では、最近は子宮がん検査などが積極的に行われるようになったために、このような大きいものはめったにありません。子宮筋腫を有していても無症状で経過することが多く、子宮がん検査の際に偶然、発見されたりします。このため、子宮筋腫の正確な有病率は不明です。閉経後には縮小傾向をとることが多いので高齢者の頻度は少なく、18歳未満での発生もまれです。子宮がん検査で子宮筋腫が発見される頻度は、10~30%と諸家しょかにより報告にばらつきがあります。原因ですが、性成熟期を中心に発育し、閉経後には発育が停止あるいは縮小することから、エストロジェン依存性と考えられています。最近では筋腫組織の染色体の12、14番目の異常が発見され、遺伝子異常との関連も示唆されています。子宮筋腫の大きさ、部位、数により症状は異なります。症状としては、圧迫感、下腹痛、生理痛、過多月経などがあります。不妊症の原因になることもあります。例えば、過多月経の方は、徐々に貧血となり息切れや全身倦怠が認められます。さらに長期間に及ぶと高度の貧血となり、呼吸困難や心不全で生命に関わる場合もまれにありますので、たかが貧血と侮れません。 子宮筋腫の大きさ、臨床症状、挙児希望の有無により治療は異なります。小さな筋腫で無症状のものは、腫瘤しゅりゅうの増大傾向をチェックしながら経過観察します。中枢性ゴナドトロピンの分泌を抑制し偽閉経状態にし、出血をコントロールしながら、筋腫を縮小させる薬剤もあります。投与中は縮小傾向がみられますが、薬剤を中止すると元の大きさにもどります。外科的治療としては、筋腫核出術、単純子宮全摘出術などがあります。最近では開腹術ではなく、腹腔鏡で手術を行っている施設もあります。

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No.395 動物による刺咬傷 武重医院 武重 徹

動物による刺傷や咬傷は、現代でもしばしば遭遇する外傷です。我々が日常診療において頻度が高い犬、猫による咬傷を中心として簡単な治療法、対処法を解説します。 国内での詳細なデータは少ないのですが、米国では毎年数百万人が動物に咬まれ、30万人が救急外来を受診しています。大部分は子どもであり、犬や猫によるものが約9割を占めます。受傷後の感染率は、犬では数パーセント~10数パーセント、猫の場合はやや高く約30%~80%と報告されており、かなりの確率で感染を合併します。このため傷口がどんなに小さくても、汚染創として処置しなければなりません。傷が小さいからといって、医療機関に受診するのが遅れると感染が広がり、治療に難渋することになります。 実際に咬まれてしまった場合の対処法として、小さな傷の場合は咬まれた場所を水道水などで洗浄し、傷やその周囲に付着した汚染を取り除いたあと、早めに医療機関を受診してください。また傷が大きくまた深い場合には、場所によっては血管損傷、神経損傷の可能性がありますので、すぐに受診してください。 実際の治療は、まず創部位を滅菌生食水などで十分に洗浄したあと十分に消毒します。このときは神経や腱の損傷の有無に注意し診察しています。咬傷は感染の危険性が高いため、縫合はせず開放創とし3日~5日目に感染が生じていないことを確認後、創閉鎖を行うか、傷が小さければそのままとします。しかし受傷早期に十分な洗浄が行なわれた創や、血流の豊富な部位では一次閉鎖を行なうことがあります。 その後の破傷風の予防も大切です。破傷風トキソイドの接種歴がない方には、破傷風トキソイドと破傷風免疫グロブリンを予防投与します。トキソイド接種歴があっても、5年以上経過していた場合や、接種回数が2回以下の場合にはトキソイドを追加接種します。もちろん創感染のために広域スペクトルの抗生物質を数日間投与内服してもらいます。 狂犬病も気になるところですが、日本では40年以上も発生をみていません。しかし世界では毎年数万人が狂犬病で死亡しており、アジアやアフリカで多くみられます。わが国で治療を必要とするのは、海外で犬などに咬まれ、帰国後も発病予防のためワクチン投与を継続する方ですが、現在密輸入された犬などが流通しており、今後日本国内でも発生をみるかもしれません。 最後に、人間に噛まれた場合も同じように汚染された創ですので、もしも咬んだり咬まれたりした場合は、警察に行く前に、まずは医療機関を受診してください。

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