Yearly Archives: 2005

No.409 鼓膜切開について とくまる耳鼻咽喉科 徳丸 隆太

「鼓膜を切開しましょう」と言われると、恐ろしい事をすると思われる方も多いと思います。患者さんにとって耳の中は自分では見えない部分であるため、余計に不安になると思います。そこで以下の説明を読んで頂き、鼓膜切開の必要性を理解し、恐怖感や不安を取り除いて頂けたらと思います。 鼓膜切開とは鼓膜をメスにて切開し、鼓膜の奥の中耳にたまっている膿うみや液体を取り除く手術です。痛みを伴う可能性がありますので、鼓膜の表面を麻酔してから施行することが一般的ですが、入院の必要はなく日帰りで行います。 鼓膜切開の適応となる病気としては、耳の痛みや発熱の原因となる急性中耳炎や、難聴や耳閉感の原因となる滲出しんしつ性せい中耳炎です。中耳に膿や液体がたまっていると、この様な症状が出ますので、切開し取り除くことによって症状は改善してきます。中耳炎は抗生物質などの薬物療法だけでも完治することが多いので、すべての方に鼓膜切開を施行するわけではありません。元々鼓膜に穴の開いている慢性中耳炎や、急性中耳炎でもすでに鼓膜に穴が開いてしまい耳だれが出てきている方には新たに切開する必要はありません。薬物療法だけでは痛みや発熱などの改善の見込みがないと思われる方や、通院治療していても難聴の改善しない方には積極的に鼓膜切開をお勧めしております。「鼓膜を切ったら難聴になりませんか」とよく質問されますが、反対に難聴の改善のために行うものであることを理解してください。 中耳炎の程度にもよりますが、切開後3~4日、耳だれが続くことがあります。出血を伴うことがありますが、珍しいことではありませんので心配する必要はありません。この耳だれが止まれば、切開した鼓膜の穴はほぼ自然に閉鎖します。閉鎖後に中耳炎を再発した患者さんには、もう一度鼓膜切開を行うこともあります。何回も鼓膜切開しても中耳炎の治らない患者さんには、鼓膜にチューブを留置する方法をお勧めすることもあります。 鼓膜切開についてご理解頂けたでしょうか。決して難しい手術ではありませんし、症状が改善することが多いので、医師から勧められたときは怖がらず前向きに考えて頂きたいと思います。

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No.408 子どものやけど 越谷ふれあいクリニック 土屋 博之

最近の新聞に乳幼児の死因のトップは、浴槽での水死、交通事故、窒息などの不慮の事故で、家庭内でちょっと注意をすれば防ぐことができると呼びかけております。その一つに小児のやけどもあり軽症を含めると3人に1人が経験しており、その一割が医療機関を受診しております。 やけどの原因には、家庭内にあっては熱源のすべてが原因となり、ポットのお湯、テーブル上の味噌汁やお茶、ラーメン、炊飯器、お風呂などで、屋外にあっては楽しい夏休みの家族そろっての花火、バーベキュー、キャンプファイアーなどです。 乳幼児はまだ何が危険であるかの判断ができませんから、是非一度やけどの原因になる家庭内や屋外の熱源のチェックを行ってください。家庭内での熱源は畳や床の上には置かず子どもの手の届かない1誡以上の高さに置くとか、テーブル上の熱性液体をこぼすもとになるテーブルクロスを敷かないなどの注意をしましょう。また、ある年齢までは子ども一人でお風呂に入ったり花火で遊んだりすることは避けましょう。 さて、実際お子さんがやけどをした時、どの様な処置をしたらよいのでしょうか。まず受傷後できるだけ早く局所を水道水で冷却・洗浄を低体温にならないように10分程度はしてください。冷却により疼痛とうつうは軽快し浮腫ふしゅは抑制されます。冷却・洗浄後は受傷部を清潔なガーゼあるいはシーツに包み至急近くの医療機関(外科、小児外科、皮膚科、形成外科)を受診してください。その際家庭にある成分不明な軟膏は使用しないでください。べったりと塗られた軟膏でやけどの程度がわからなくなるばかりでなく、感染も合併するなど、その後の処置に大変困る事が起こります。 やけどの評価には、主にその面積と深さによりますが、表皮に発赤のみのⅠ度熱傷と熱傷面積10謾以下の水泡を形成するⅡ度熱傷は軽症とされますが、受傷部感染の合併により深さの程度も重くなります。皮膚全層におよぶⅢ度熱傷は、皮膚移植や瘢痕はんこん形成の問題が起こります。熱傷面積の目安として子どもの片上肢は約10謾とみられますのでそ、れ以上の面積であれば入院が必要になる可能性があります。 以上、子どものやけどについて述べてまいりましたが、その原因はほとんどがご家族の注意で防げるものである事、また最初の受傷現場でのご家族の処置が大変重要である事を強調したいと思います。

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No.407 慢性硬膜下血腫について 工藤脳神経外科クリニック 工藤 吉郎

脳外科の病気で比較的多い疾患の中に慢性硬膜下血腫があります。重症頭部外傷直後の頭蓋ずがい内出血はよく知られておりますが、この病気は頭部外傷の後にゆっくりと頭蓋内に血液が貯留し、脳を圧迫し症状を出現してきます。多くは老人の男性で、飲酒家に多く、軽微な頭部外傷の後3週から3カ月後に症状を呈してきます。頭部外傷受傷直後のCTスキャンでは異常を認めないことがほとんどです。また外傷の既往がはっきりしない例もあり、抗凝固薬使用中の人にみられることもあります。 症状はいろいろ変化に富み、頭痛片、麻痺まひ尿、失禁言、語障害、意識障害、さらに精神障害を伴うこともあり、症状からはアルツハイマー等認知症疾患との鑑別が困難な場合があります。 診断はCT、MRIを施行すると明白で、血腫が脳を圧迫し、脳がゆがんでいるのが分かります。 治療は血腫の量にもよりますが、手術が主体となります。手術は脳外科の手術のうちでは比較的簡単で、頭蓋骨に穴を穿頭せんとうして血液を頭蓋外へ導出し終了します。 手術後、予後は比較的良好な経過を取り、症状は多くの場合軽快します。 アルコールの好きな老人男性で数週間前に軽い頭部外傷を受け、上記症状にあてはまることがあれば精密検査を受けて下さい。

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