広報こしがや

1999年06月01日

No.324 ペインクリニックとは 村田 一也

私たちが病院にかかる時は、風邪をひいて頭やのどが痛い、食事の後に腹が痛い、重い物を持った後に腰が痛いという具合に痛みを伴う場合が非常に多く見受 けられます。また、なんとなく具合が悪い時でも痛みがなければ医者に行かずにそのまま様子を見てしまうこともよくあります。それだけ人間は痛みに関して非 常に敏感な動物であり、また痛みに弱く、痛みの苦痛と恐怖感におびえながら、痛みさえなければどんなに快適に生活ができるだろうかと思っている人も決して 少なくはないでしょう。
ペインクリニックは、痛みなく生きるための医療といえます。いつまでも続く症状によるイライラや、うつ状態からも解放し、心身ともに自立することを目指 す総合的な診療科で、ここ20年ぐらい前より注目されてきており、主に神経ブロック法(痛みのもとになる神経を薬を使って抑える)を行って、疼痛(とうつ う)の診断と治療を行う新しい臨床診療部門です。その他に、他の薬物療法、理学療法、電気刺激法、東洋医学療法、心身医学療法なども行います。
例えば、慢性の腰痛や肩が痛いために腕が上がらない五十肩を例にしてみましょう。痛みのために腰や肩を動かせない。動かせないことによって周りの筋肉等 が硬くなる。硬くなるからよけいに動かなくなってしまい、さらに痛みが強くなってしまうというような痛みの悪循環を起こしてしまいます。この悪循環を神経 ブロックを行うことによって断ち切り、痛みを治していきます。
神経ブロックの適応対象は、必ずしも痛みだけではありません。私どもが治療している主な病気は、腰痛(腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニア、変 形性脊椎(せきつい)症など)、肩こり、五十肩、むち打ち症、帯状疱疹(たいじょうほうしん)後神経痛、頭痛、顔面神経まひ、顔面けいれん、顔面神経痛、 突発性難聴、三叉(さんさ)神経痛、多汗症、鼻アレルギー、花粉症などです。
医学が発達した現在でも、原因のわからない痛みもまだあり、痛みとは何かということもわかっておりません。しかし、多くの人が痛みに苦しんで痛みと闘っています。我々は皆さんが痛みから少しでも楽になってもらおうとして治療を行っております。

過去のホームドクター