No.333 薬の使い方(せき止め) 多田 英世

せきは、たんやそのほかの刺激によって気管支の筋の収縮が起こると、その収縮がせきの受容体を刺激し、その興奮が神経(迷走神経)を伝わって、脳(延 髄)のせき中枢へ伝達されることによって発生すると考えられています。すなわち、せきは何らかの生体の防衛反応といえます。
せき止めは大きく2つに分けられます。1つは中枢性鎮がい剤でせき中枢に直接抑制的に作用するもので、もう1つは末しょう性鎮がい剤で気管支の筋の収縮の段階で作用するものです。そのほか、たんを出しやすくする去たん剤と呼ばれるものがあります。
せき止めの薬を使用するにあたっては、まず、せきの原因が何であるかを明らかにする必要があります。いつからどのように起こってきたのか、せきのよく出 る時間帯があるのか、せきは湿性(たんを伴う湿ったせき)なのか乾性(乾いたせき)なのか、ほかに伴う症状はないのかどうか、現在または過去に治療を受け ていることはないか、住居あるいは職場での環境はなどなど。そしてせきが長く続くことによって起こる体に不利益なことを取り除くために、せき止めを使うこ とになるわけです。
原因によってはせき止めを使ってせきを止めてしまうと気管内部に分泌物が貯まり、体に好ましくないこともありますので注意が必要です。例えば、分泌物の 多い乳幼児のせきでは主に末しょう性鎮がい剤や去たん剤を使うことが多いのですが、中枢性鎮がい剤を頻回、長期に使用するとたんの喀出を妨げ、かえって経 過を長引かせることになってしまいます。いわゆる風邪のごく初期で乾いたせきのときでしたらあまり問題はないかと思いますが、ぜんそく性の場合も含め、な るべく使わないほうがよろしいでしょう。夜間のせきがひどく睡眠が妨げられるような場合や体力が消耗してしまうようなときに頓服として使用するのが無難で す。
成人でせきがある場合は、喫煙者でしたらまず禁煙する必要があります。喫煙しながらせき止めを飲むのは言語道断と言えましょう。ある種の降圧剤(ACE 阻害剤と呼ばれています)でもせきが長く続く場合があります。せきの原因はさまざまです。長引くせきの場合は医師にご相談ください。あくまでもせきの原因 を明らかにしたうえで、基礎疾患に対する治療とせきに対する治療を並行して行わなくてはなりません。

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