広報こしがや

1999年12月15日

No.336 小児の下痢止めの使用 大村 純一郎

小児はいろいろな原因で下痢をすることがあります。下痢をともなって受診されるお母さんは下痢止めの薬を希望されますが、最近、小児の下痢には下痢止め を使用しなくなってきています。下痢は腸の中に入った菌や毒素などを体の外に早く出そうとする生理的な現象と考えられています。無理に下痢を止めてしまい ますと、かえっておなかの中で菌や毒素を増やすことになるためです。特に、熱や便に血や膿(のう)がまじっている下痢(例えばO157)では決して下痢止 めを使ってはいけません。
下痢はおなかの中で食物や水分の消化吸収が悪くなり、また炎症などによっておなかの中に水分が多量ににじみ出てくる状態です。
1 下痢の原因
①食べ過ぎ、寝冷え ②ウイルスの感染 ③細菌の感染 ④アレルギー ⑤その他の病気による反応性の下痢などがあります。
2 薬の使用
①整腸剤(おなかの中の正常な細菌の増加をうながす) ②酵素製剤(下痢のとき特殊な酵素が少なくなるとき) ③抗生物質(細菌の感染が疑われるとき)  ④水分の補給(口から電解質補給、輸液) ⑤座薬(おう吐が強いとき、まれに使う薬) ⑥腸の動きを抑え、腸のけいれん(痛み)を和らげる薬 ⑦腸の水 分を吸収する薬などがありますが、使用するときは主治医と必ずご相談ください。
3 家庭でできること
①安静、保温 ②水分の補給(おう吐が強いとき、お茶、湯冷まし、スポーツドリンクではなく乳幼児用のイオン飲料。おう吐が治まれば乳児ではうすめたミ ルク。離乳の進んでる小児では、りんご果汁、重湯、野菜スープ、くずゆ。さらに大きな小児では、おかゆ、煮込みうどんなどから食事を進めましょう)。イン スタント食品、繊維の多い野菜、肉類、揚げ物、魚介類はしばらく避けてください ③脱水症状(元気がない、寝てばかりいる、口の中がベタベタする、尿の出 が少ない)などに常に注意し、ふだんから小児の体重を計っておいてください。体重の変化が脱水症の指標としても役立ちます。

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