広報こしがや

2000年10月01日

No.347 高血圧 松本 佳久

日本の高血圧の患者さんは、近年増えており、現在、約3000万人の患者さんがいるといわれています。高血圧には、原因のわからない本態性高血圧と、ほ かの病気に伴って起こる二次性高血圧がありますが、患者さんのほとんどが本態性高血圧です。ここでは、主に本態性高血圧について説明します。
高血圧の患者さんが増えているのは、日本人の血圧が高くなっているわけではなく、高血圧の診断基準そのものが厳しくなったことによります。以前の高血圧 の診断基準は、「収縮期血圧160以上、拡張期血圧95以上」でしたが、現在は「収縮期血圧140以上、または拡張期血圧90以上」に変わりました。
血圧が年齢とともに高くなるのは血管が細くなるので、やむをえないとかつてはされてきました。しかし、今では、若いころから血圧上昇をおさえ、正常血圧 に近づけておいた方が合併症への進展を妨げることがわかってきました。そのため、高血圧の基準も見直され、治療の基準が厳しくなったのです。
高血圧の合併症には、血管が強い圧力を受けるために起こる大動脈瘤などの血管の病気や、高血圧が動脈硬化の原因となるため、血管がもろく詰まりやすくなり、脳の血管の障害による脳卒中、心臓の冠動脈の障害による狭心症、心筋梗塞などの重篤な病気があります。
これらの合併症を予防することが高血圧の治療の目的です。薬で血圧を下げると、心臓病や脳卒中などの病気の発症率も低下します。降庄薬にはいろいろな種 類があり、薬の量や種類、服用する時間、回数は、患者さんの血圧変動や合併症に合わせて調整されます。また、薬の効果をみるためには自宅で血圧を測ること も大切です。しかし、自分で測った血圧値を見て、勝手に薬を増減したりせずに、血圧の変化や薬の量などが気になるときは、必ず主治医に相談するようにしま しょう。
最後に、高血圧に関する日常生活における注意点として、1.規則正しい生活。過労やストレスを避ける。2.十分な睡眠と適度な運動。3.食塩摂取は一日 10㌘以下とする。4.食べ過ぎないこと。肥満の改善と防止。5.野菜、果物、海草類は豊富に食べること。6.たばこの吸いすぎや、アルコールの飲み過ぎ を控える。7.便通を整える。8.熱いふろは避ける。9.寒さに気をつける。などをあげておきます。

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