広報こしがや

2002年03月01日

No.364 子どもの視力異常 南越谷小林眼科病院 小林 豊

Q小学2年生の児童です。学校の視力検査が0・6~0・3でした。今後さらに視力低下は進むのでしょうか?
Aものを見た時の映像がきちんと目の奥(網膜)に集まらない状態を『屈折異常』といいます。これには、近視、遠視、乱視がありそれぞれ視力低下を生じます。何が原因かにより今後の視力の状況は変わります。
『近視』は遠くの景色が網膜にとどかないため見えづらい状態ですが、近づくにつれ見えてきます。身体の成長とともに進行する傾向があります。眼鏡の使用 法や目の使い方が大きく影響することはありませんが、近くの作業を長時間続けたり、近づき過ぎて書物を読むことは避けてください。眼鏡は主に遠くを見る時 に使います。あわてて作ることはありませんが、学業などに支障が出た時点で必要となります。
『遠視』は遠くの景色も近くのものも網膜に集まらない状態です。遠くから近くに焦点を合わせる能力(調節力)を過剰に働かせて見ようとするため、日に負 担がかかります。一般に幼児期には遠視のことが多く成長とともに軽減していきます。幼児期の強い遠視は網膜の機能が正常に発育しない状態(弱視)や、視線 のずれ(内斜視)を生じるため精密検査・治療が必要です。小学生でも中等度以上の遠視は常時眼鏡を装用します。
『乱視』は遠くの景色が目の中に集まる時に一カ所にまとまらない状態です。縦の線と横の線では明瞭さが違って見えます。成長による増減の傾向ははっきり せず、個人差があります。乱視単独の場合や、近視や遠視と合併する場合があります。ものが見えづらかったり、目が疲れやすい時には乱視矯正レンズを眼鏡に 使用します。
視力低下の原因は屈折異常だけではありません。小児でも結膜、角膜、虹彩、水晶体、網膜、視神経などに病気がみられ、見えづらくなる場合もあります。視力低下が急激に進行する時は、眼科でのきちんとした検査を受けたほうが良いでしょう。

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