広報こしがや

1997年08月15日

No.285 子どもにもリウマチがあるのですか? 藤川 敏

私は小児科医ですが、特にリウマチ性疾患を専門にしています。小児科医としてはまれかもしれません。日本全体でリウマチ性疾患の子どもたちが約1万 5000人いると考えられています。これは日本の小児科医の数と大体同じです。 『お子様はリウマチです』と申しますと両親はいろいろな反応を示します。まず、ちょっとあきれ顔で、『リウマチは年寄りの病気ではないのですか』という表 情を示します。そして子どもにもリウマチがあることを知ると、足が不自由で車いす生活の知り合いのおばあちゃんを思い出し、悲しみ、そして怒ります。『な ぜこのような病気になったのですか?食事のせいですか?遺伝ですか? わたしの家系にはありませんよ。』少し冷静になりますと『専門の先生を紹介してくだ さい』と申します。『私もその専門家の一人です。指導医の資格も持っています』と申しても初めは信用してくれません。どうにか病状が落ち着く、2~3カ月 の間は私はいつも試験を受けている感じです。  子どものリウマチといっても成人の慢性関節リウマチに相当する若年性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、強皮症、シェグレン症候群、ベー チェト病などさまざまな病気があります。その中で最も多いのが若年性関節リウマチです。全体の3分の1はアスピリンなどの抗炎症剤で治りますが、残りはど うしても5~10年もかかってしまいます。もし進行が早いと6カ月位で関節が硬くなってしまいます。つまり最初の6カ月以内に確実な治療を開始しないと関 節障害が残ることになります。残念ながら多くの患者さんは病院を転々とし、専門家を訪れるまでに時間を費やしてしまいます。私自身、多くの小児科医から紹 介されますが、地元の患者さんが偶然に初診することはほとんどありません。子どものリウマチ性疾患は関節の症状が初めは軽いこともあり、原因不明の発熱、 皮膚のぼつぼつ、口内炎が頻回にでる、尿にたんぱくが出るなどで発見されることもあります。早期診断と早期発見が特に大切です。原因のわからない病状が出 たら、ちょっと頭のすみに入れておき、思い出してください。

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