広報こしがや

2008年04月01日

No.437 虫垂炎について 相良醫院 相良 哲郎

昔から、手術対象の疾患として良く知られている中垂炎(いわゆる盲腸)について少々述べさせていただきます。
虫垂炎は虫垂におきる急性の炎症で、この部にできた糞石(固い便の塊り)等が原因の事もあります。虫垂炎は、盲腸と呼ばれることが多いのですが、正確に言うと盲腸とは大腸の一部であり、虫垂が付着している場所のことを指します。医療関係者は虫垂炎のことを、アッペと言うことがあります。虫垂炎(Appendicitis )の略です。
この疾患は症状が軽いうちに、抗生剤の投与を行えば大部分が良くなるのですが、重症化すると手術が必要になることも少なくありません。たかがアッペされどアッペです。初発症状は胃痛や嘔気であることが多く、下痢を伴うことは比較的少ないです。これがひどくなると右下腹部の臍と腸骨(腰骨)とを結んだ線の外3分の1の辺りを押すと痛みが増強することです。炎症が高度になると押す事でその部の筋肉が自然に固くなり、押した手を離す瞬間に部位に強い痛みを感じます。以上のことは自分でも分かることですから、覚えておくと、役に立つかもしれません。
その他、レントゲン検査やCT、超音波検査が行われます。炎症の程度を調べるために血液検査の白血球数やCRPという数値も参考にされます。虫垂炎の程度は3段階に評価され、軽ければ抗生剤の投与でよくなりますが、中~高度の場合は手術適応になります。手術は背中から麻酔(腰椎麻酔)や全身麻酔で行われますが、腹腔鏡を用いて行われることも多くなっています。虫垂を切り取り、根部をしばるのが原則ですが、膿を排除するためにドレーンという管を入れる事もあります。入院日数は、大体1週間はかかります。腹膜炎をおこしていたり創の感染があったりすると1カ月近くになる事もあります。
この疾患と紛らわしい疾患に盲腸の憩室炎や尿管結石などがあります。いずれにしても腹痛がすぐによくならない時は早急に近医にご相談ください。

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