広報こしがや

2008年11月01日

No.444 大腸がんについて 石川医院(越ヶ谷) 石川 茂正

大腸がんによる死亡者数は年々増加の一途をたどっています。2003年には女性ではついに胃がんを抜いて悪性新生物による死亡原因の第1位になりました。男性でも、死亡原因として肺、胃、肝臓に次いで第4位ですが、近い将来消化器がんのなかで第1位になると予想されています。
大腸がんの発生には遺伝的要因に加え、食習慣を含む生活習慣が深く関わっています。食物、栄養とがんに関した研究で、牛や豚など赤身肉や加工した肉食品の摂取量の多い人に大腸がんのリスクが高いと認められています。また、過体重、肥満、アルコール摂取もリスクとされています。予防に確実に効果があるのは身体を動かすことです。従来いわれてきた野菜、果物の摂取の予防効果は研究により一致していません。ただし、胃がん、食道がんに関しては予防効果があり、奨励すべき生活習慣であることに変わりありません。肉食など脂肪を多く摂取する人や高脂血症のある人は注意が必要です。
大腸がんの自覚症状は便に血が付着する、便が細くなる、便通の変化、腹痛などですが症状が出てからではがんが進行してしまっていることが多いです。血便があっても痔があるからと思っていて、検査してみたら実は進行した大腸がんがあったというのはよくある話です。そのため早期発見、早期治療が重要で、大腸がん検診が有用です。検診の受診率は増加してきていますが、まだ低率で大腸がん患者を減らすには程遠いのが現状です。また、せっかく検診で便潜血反応が陽性を指摘されても、大腸内視鏡検査に対する心理的抵抗感などのため、精密検査を受診しない人が多いのも問題となります。自覚症状のある人、大腸がん検診で便潜血反応陽性の人は、早く大腸の検査を受けるようにしましょう。大腸内視鏡検査は以前と比べると検査前の食事制限がなくなり、また機器の改良、技術の進歩により以前ほど苦痛を伴う検査ではなくなりました。
大腸がんは早期に発見することにより、救命できる可能性が高くなるだけでなく、内視鏡治療で治癒させることのできる病気です。

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