No.453 脳梗塞の最新治療(アルテプラーゼ静注療法に)ついて こしがや脳神経外科・内科 玉野 吉範

脳梗塞は、脳内の動脈が血栓(血液が固まったもの)によって閉塞し、脳組織が障がいを来す病気です。この動脈閉塞が3時間から6時間以上続くと脳組織はダメージを受け、たとえ血流が再開しても元に戻ることはありません。また、時間がたってから再開通すると、もろくなった動脈に圧力がかかり、今度は脳内出血(出血性脳梗塞)を起こして症状が悪化することがあります。従って脳梗塞の治療、特に閉塞した血管を再開通させる治療(再開通療法)は、発症から早期(現在の基準では3時間以内)に開始する必要があります。
今までこの再開通療法は、脳血管撮影を行い、カテーテルという細い管を閉塞部位まで進入させて薬剤を注入し、血栓を溶解させるという方法しかなく、時間的要因のため、ごく限られた症例だけに行われていました。
しかし、この再開通療法に新薬を使った新しい療法が、2005年10月に認可されました。rt-PA (アルテプラーゼ)静注療法です。この薬剤は静脈注射という簡便な方法で血栓に直接作用し、閉塞した脳動脈を再開通させる働きがあります。今までの治療では脳血管撮影を行う必要があり、実際に治療を開始するまでにかなりの時間がかかっていましたが、この静注療法では脳血管撮影の必要がなく、大幅に時間が短縮され、再開通療法の適応症例が増えました。
米国で行われた臨床試験では、アルテプラーゼを使用した人の39%がほとんど障がいのない状態にまで回復しました(使用しなかった人では26%)。日本で行った試験でも、37%の人が障がいのない状態まで改善しました。ただ、この薬剤には重大な副作用が発生する危険性があります。脳内出血(出血性脳梗塞)であり、これにより死亡してしまう場合もあります。この合併症は、発症3時間以降に薬剤を投与された場合に多く発生します。この発症時間は発見時間ではなく、症状が出現した時間です。発症した時間が分からない場合は最後に健康であったことが確認された時間です。脳卒中の症状が出現した場合には、一刻も早く脳卒中専門医療機関を受診してください。

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