広報こしがや

2010年10月01日

No.467 とまらない咳について 大袋医院 西片 光

咳は医師を受診するきっかけとなる症状として最も多いもののひとつです。咳を起こす病気はたくさんあります。数日でよくなる咳は心配ありませんが、2~3週間以上咳が続くときは、早く診察を受けましょう。
風邪の咳は長くは続きません。長引く場合は風邪から他の病気を併発しているか、風邪ではないこともあります。薬を飲んでいるのに咳が続く場合は、診断、治療の見直しが必要です。喘息、結核や心臓病のこともあります。
煙草を吸う方で咳が長引く場合は肺癌や肺気腫も心配です。煙草を吸う量が少なくても、肺癌や肺気腫になる危険は減りません。早く診察を受け、禁煙しましょう。どうしても禁煙できない場合は、禁煙補助薬を用いた禁煙指導を受けましょう。一定の条件を満たせば、健康保険が使えます。1日に1箱吸う方だと、2カ月分のタバコ代で禁煙指導が受けられます。最近では飲み薬もよく用いられ、成功率も高くなっています。
風邪のようではないのに咳が続くときは、アレルギー性の咳や咳喘息のことがあります。一部は呼吸困難のおきる本当の喘息に移行することがあり、早めに診察を受ける必要があります。
風邪が治ったのに激しい咳だけ2~3週間以上続くときは、百日咳のことがあります。激しい咳の発作が特に夜にひどく、時には嘔吐を伴います。肋骨が折れることもあります。ここ数年百日咳は成人に増えています。普通の風邪の治療ではなかなか良くなりません。胸のエックス線写真や一般的な血液検査でも異常が見つかりません。かかりはじめの1~2週間は感染力が強く、乳幼児への感染源となります。抗体検査が参考になりますが、診断が難しいケースもあります。
マイコプラズマや肺炎クラミジアの感染も咳が長引きます。マイコプラズマ感染症は、1日のうち熱が1度以上変動するのが特徴です。朝や午前中は37度台でも、午後から夕方夜にかけて38~39度に上がります。肺炎クラミジア感染では咳がひどいのに熱がなく、エックス線写真でも影が出にくく、CTスキャンを撮らないとわからないこともあります。かかりつけの先生とよく相談しましょう。

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