広報こしがや

2010年12月01日

No.469 脂肪肝 おか内科クリニック 岡 茂樹

脂肪肝とは、肝臓に中性脂肪が異常に沈着した状態をいいます。日本でも肥満者の増加に伴い、生活習慣病とともに肝機能異常を呈する成人の人口が近年増加しています。その中の多くの人に脂肪肝が認められますが、最近その脂肪肝について考え方が変わってきています。
注目されているのが、飲酒歴がないにも関わらずアルコール性肝障害に類似した脂肪性肝障害を認める、非アルコール性脂肪性肝疾患という病気です。主に肥満や糖尿病を基盤として発症しますが、甲状腺機能低下症などの内分泌疾患や高度の栄養障害などでも起こります。非飲酒者(エタノール換算:女性20g/日以下、男性30g/日以下)が、CT検査や腹部超音波検査などを用いて脂肪肝と診断された場合にはこの病気が疑われます。
また、この病気が進展し重症化すると、非アルコール性脂肪性肝炎という病態になることがあります。この病気の危険なところは、脂肪肝でありながら若年者でも肝硬変や肝細胞癌を発症してしまうことです。進展の原因は、酸化ストレスや遺伝的要因などですが、不明な点も多いのです。確定診断には、肝臓に針を刺して組織を採取し、直接肝臓の状態を調べる肝生検という検査が必要です。
このような病気を予防するには、食事療法と有酸素運動の併用による肥満の解消、高血圧や糖尿病、脂質異常症など合併症の改善が必要です。ただし急激な体重減少は脂肪肝が悪化することがあるため、月に1~2㎏くらい(まずは5%)の体重減量を目標とします。
以前は問題視されなかった脂肪肝ですが、今後は定期的に血液検査を行い肝臓の状態をチェックすることが必要と思われます。

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