広報こしがや

2012年02月01日

No.483 前立腺がんについて 越谷泌尿器科・内科 中野 優

前立腺は男性にしかない臓器で、精液の一部を作っています。炎症や肥大症、がんなどの病気があり、特に50歳ごろからがんや肥大症が増えてきます。
肥大症もがんも症状はよく似ており症状から区別することはできません。肥大症は良性の病気でがんになることはありませんが、肥大症とがんが同時に起こることはあります。肥大症は症状が出てから治療すれば良いのですが、がんは症状が出てからでは手遅れになることが多いので、自覚症状が出る前に発見することが大切です。
前立腺がんの診断をはっきりさせるには、前立腺針生検という精密検査を行いますが、その前に血液検査でPSA(前立腺特異抗原)というものを調べることで精密検査が必要かどうかを判定します。PSAは前立腺がんがあると症状が出てくる前から上昇するので、がんを早く見つけるためにPSA検診が行われるのです。
前立腺がんと診断されると手術療法、放射線療法、内分泌療法などの治療が行われます。初期のがんでしたら、手術療法や放射線療法により根治的な治療が可能です。この分野の治療はとても進歩しており、手術にしても様々な方法があって、おなかを切って行う方法、おなかに数ヶ所穴を開けて行う方法、さらに先進的な方法としてロボットを使う方法などもあります。
また、放射線療法もコンピューターを使用して前立腺だけに照射する方法、前立腺内に放射線針を埋め込む方法などがあります。
内分泌療法は薬を使って、前立腺がんの進行に関係している男性ホルモンを遮断する方法です。がんがすでに進行してしまっている人や高齢者、重い合併症を持っている人に行われます。しかし、この方法は一定の効果はありすが、根治的な治療ではないので、次第に効果が薄れてしまいがんが悪化してしまうことがよくあります。ですからがんが進行する前に診断することが大切で、検診が大きな役割を果たすと考えています。
ぜひ検診を受けていただきたいと思います。

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