№497 調節痙攣について わかば眼科 若林光治

虫メガネで太陽光を集めて黒い紙を焦がす実験をしたことのある人は多いと思います。この時、レンズによって光が集められた点を焦点といい、レンズと焦点までの距離を焦点距離といいます。また、レンズが光を一点に集める力を屈折力といいます。屈折力や焦点距離はレンズによって決まっていて、黒い紙の位置が焦点距離より遠すぎても近すぎても、太陽光は一点に集まりません。
 人間の目の場合、レンズの役割を果たすのは角膜と水晶体です。一方、虫メガネの実験における黒い紙に当たる場所が網膜であり、角膜から網膜までの距離を眼軸長といいます。眼軸長と屈折力の関係が適切であれば、焦点が網膜上にあり、ものがよく見えるのですが、焦点が網膜上にないと、ピンぼけになってしまってよく見えません。屈折力に対して眼軸長が長過ぎるのが近視、短過ぎるのが遠視です。
 近視や遠視の矯正は、この屈折力と眼軸長とのアンバランスを是正することです。眼軸長を変化させることはできないので、屈折力を変えるしか方法がありません。メガネやコンタクトレンズは、角膜の前にレンズを置いて屈折力を補正する方法であり、レーシック手術は角膜の形を変えて屈折力を調整する方法です。
 長時間の読書や勉強、事務仕事によって毛様体筋という筋肉が緊張し、一時的に水晶体の屈折力が強い状態になることがあります。遠くが見えづらくなって、見かけ上近視と同じ状態になります。仮性近視などと呼ばれることが多いのですが、医学的な正式名称は調節痙攣といいます。調節痙攣であれば、毛様体筋の緊張をほぐす薬などによって視力が改善することがあります。初めて近視のメガネを作る場合には、その前に調節痙攣の治療を試してみてもよいと思います。ただ、調節痙攣の薬を使えば全ての人の視力が改善するというわけではありません。毛様体筋の緊張によるものでない視力低下には、残念ながら効果はありません。本人が不自由を訴えていて、調節痙攣の治療を試しても視力が改善しない場合は、眼鏡を作った方がよいでしょう。

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