広報こしがや

2013年05月27日

№498 新しいニキビの治療について 関 医院  六波羅詩穂

ニキビでお悩みの方は意外と多いのではないでしょうか。ニキビは思春期から青年期の顔のいわゆるTゾーンと呼ばれる脂漏部位に白や黒の毛穴の目立ち、赤や白のブツブツ、さらに赤や茶色のシミ(炎症後色素沈着)、瘢痕化したクレーター様のニキビ跡など多彩な症状を繰り返し引き起こす慢性の皮膚病です。
 ホルモンの働きで毛穴に開口している脂腺が発達し、皮脂が活発に分泌されるようになります。その際、毛穴の出口付近の角質も厚くなり皮脂が毛穴内にたまりやすくなります。これがニキビの元となります。毛穴内にはニキビ菌と言われる常在菌が元々存在しており、たまった皮脂を分解して増え毛穴に炎症を引き起こします。さらに炎症が拡大すると毛穴を破壊し膿をためるようになります。炎症が治まってくると色素沈着や瘢痕となります。
 従来、ニキビ治療には抗生物質の外用や内服、イオウ製剤の外用、ビタミン剤や漢方薬の内服などがあり、炎症を抑える治療が主体でした。そうした中、ニキビの新生を抑える効果を持つアダパレンという外用薬が、1995年にフランスで発売されたのを皮切りに世界各国で使用されています。この薬は日本でも2008年に保険適応され広く使われるようになりました。
 アダパレンは1日1回の外用で毛穴出口付近の角質を薄くし、皮脂が毛穴内にたまるのを防ぐことでニキビの新生を抑え、ニキビが進行する事を防ぎます。
 しかし、このアダパレンを使う際にはいくつかの注意点があります。
 一つは妊娠中または妊娠の可能性のある女性には使用できない事です。
 二つ目は副作用として約8割の人にヒリヒリした刺激感を生じる事です。これはスキンケアをしながら2週間くらい使っていると慣れてくる事が多いのですが、非常に個人差があり、特に敏感肌の方で継続が難しい場合があります。そして注意の三つ目は、塗り始めてからニキビが減ったと実感できるまでには1~2カ月かかる事です。
 脂腺の発達する年齢の間はニキビのできやすい状態が続きます。
 季節や体調、女性では化粧品などの影響で症状は常に変化しています。その時々での症状に合った治療を焦らず継続していくことが、ニキビ治療の鍵と思われます。

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