広報こしがや

2013年07月18日

№500 脊柱管狭窄症 松田整形外科 松田繁三

超高齢社会を迎えて、ますます増えると予想されるのがこの病気です。変形性膝関節症、骨粗鬆症と並んでロコモーティブ症候群(※)の原因となる病気の1つです。
 背骨は体重を支える役目の他に、頭から腰へつながる太い神経(脊髄)を通す管の役目があります。この管を脊柱管といいます。脊柱管狭窄症とは、加齢により背骨が変形し、この脊柱管が細くなることで神経が圧迫されて腰痛、歩行困難、足のしびれ等が生じる病気です。放置しておくと排尿・排便の感覚が分からなくなり、自力で用足しができなくなる可能性もあります。
 症状の中ではとりわけ歩行困難が特徴的です。間欠性跛行と言い、歩行により足がしびれて脱力感が生じ歩けなくなります。しかし座って休むとまた歩けるようになります。悪化するとその歩ける距離が次第に短くなります。軽症のうちは保存的治療(手術以外の治療)が主です。
 薬は、脊柱管内の圧迫された神経の血流を良くする薬やビタミンB12製剤等を内服します。痛み止めも必要に応じて服用します。リハビリで腰の牽引や、温熱、筋力をつける為の体操等を行います。それでも良くならないときは、狭くなった脊柱管内に麻酔薬や炎症を抑えるステロイド剤等を注入する硬膜外ブロック注射も選択肢の一つです。
 何をしても良くならないときには手術も可能です。手術にはもちろんリスクもありますし、再発の可能性もありますので、医師とよく相談のうえ、決めるべきです。多くの場合、痛みや歩行困難の症状が改善します。しかし、長期間経過した後のしびれは改善しないことが多いのも事実です。また、完全に足が麻痺してから、もしくは排尿排便の感覚が分からなくなってからでは、それらの症状はほとんど改善しません。
 快適な老後を過ごすためにも、かかりつけ医とよく相談し、場合によっては専門医での治療もお考えください。
※ロコモーティブ症候群…筋肉や骨格、神経などの病気で生活動作が衰え、介護が必要となる危険性が高い状態のこと

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