広報こしがや

2014年03月14日

№508女性の尿失禁 いいやま泌尿器科 飯山 徹郎

尿失禁とは、自分の意思と関係無くおしっこが漏れてしまうことです。女性にとっては珍しいことではなく、40歳以上の女性の3人に1人は尿失禁があると言われていて、若い人にも珍しくありません。女性の尿失禁は主に2つの種類があります。1つは咳やくしゃみ、重いものを持った時などお腹に力が入った時に漏れてしまう腹圧性尿失禁と言われるものです。これは膀胱や子宮を支えている骨盤底筋群と言われている筋肉が弱くなることにより起こるもので、特に出産を契機に発症することが多いです。もう1つは、おしっこをしたいと感じてから我慢できる時間が短くなることにより、トイレに間に合わなくなる尿失禁で、切迫性尿失禁と言われているものです。これは簡単に言うと神経の異常で起こる尿失禁です。最近テレビ等でもよく聞く過活動膀胱はこちらの尿失禁の原因となります。この2つの尿失禁が同時に起こるものを混合性尿失禁と言います。
 腹圧性尿失禁は筋肉のゆるみが原因ですので、治療は筋肉を鍛える目的で失禁体操と呼ばれる体操や、低周波を使った治療が主になり、薬を併用することもあります。これらの治療の効果が無い重症の場合は、手術の適応となることもあります。
 切迫性尿失禁は神経の異常ですので手術の適応は無く、薬物療法が主な治療となりますが、最近はより副作用の少ない内服薬や身体に貼るタイプの薬も開発されています。
 尿失禁は直接命にかかわる病気ではなく、恥ずかしいという思いから誰にも相談できずにいる女性が多いのが現状です。特に切迫性尿失禁は尿意を感じる前にトイレに行けば尿失禁を防ぐことができるので、それを恐れるあまり外出を控えるようになり、生活の質が著しく低下することもあります。薬で良くなることが多く、尿路感染症や尿路結石などが原因になっていることもありますので、尿失禁で悩んでいる方には一度お近くの泌尿器科受診をおすすめします。

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