広報こしがや

2014年10月01日

№515 子宮筋腫について  高見沢産婦人科医院 高見沢 実

子宮筋腫とは、子宮壁を構成する筋肉から発生する良性腫瘍で、生命を脅かすものではありません。小さな筋腫は見つけにくいこともありますが、一般的な外来での診察や超音波検査で容易に診断がつきます。ひとつではなく複数個発生することが多く、成人女性の20~30%に発生すると言われています。思春期以前や更年期以降の発生はまれで、閉経後は縮小することが多いので女性ホルモン(エストロゲン)が関係していると考えられています。
 筋腫の大きさ、数、発生場所により、症状に差がみられます。主な症状は、過多月経、月経困難症、頻発月経、不正出血などです。発生部位の多くは子宮体部(妊娠した時に胎児を育てる部分)で、できた場所によって漿膜下筋腫(子宮の外側)、筋層内筋腫(子宮の筋肉内)、粘膜下筋腫(子宮の内側)に分類されます。
 漿膜下筋腫は大きくなるまで症状はほとんどありません。筋層内筋腫は小さいものでは症状がありませんが、大きくなると不正出血や流・早産の原因となります。粘膜下筋腫は過多月経(月経期間が長くなったり月経量が多くなったりする)や、不妊症の原因になります。過多月経が続くと次第に慢性貧血になります。強度の貧血になると、色白(皮膚のそう白)、微熱(貧血性発熱)、食欲不振となり、脈拍が増え胸がどきどきしたり、心拡大、心雑音が認められることもあります。筋腫が巨大になると骨盤内臓器を圧迫し、下腹部痛、腰痛、排尿障害、便秘の原因になります。
 症状がない場合は、超音波で筋腫を小さくする治療法や、子宮に栄養を送っている血管を詰まらせる治療法もあります。貧血が進行し生活に支障をきたす、膀胱・腸管圧迫症状がある、腫瘍の急激な成長や筋腫の変性による激しい痛みがある、妊娠・分娩の妨げになる、と考えられるときは手術が必要な場合もあります。主治医とよく相談して治療方針を決定することが大切です。

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