広報こしがや

1998年07月01日

No.303 越谷市の胃がん検診 越谷市医師会胃癌大腸癌検診委員会

現在、日本では、胃がん、肺がん、乳がん、大腸がん、子宮がんの5種類のがん検診が厚生省による老人保健事業の一環として全国的な規模で行われていま す。最近、これらがん検診の有用性について疑問が投げかけられたために、厚生省は「がん検診の有効性評価に関する研究班」を設置し、その効果について報告 書をまとめました。この報告の中で胃がん検診に関しては、全国集計の成績から、死亡率減少効果は40~60㌫と推定されるとして、その有効性を高く評価し ています。ちなみに、平成7年度には全国で676万人が胃がん検診を受けており、この中から6718人の方にがんが発見され、その発見率は約0・1㌫と報 告されています。
さて、越谷市における胃がん検診は現在どのように行われているのでしょうか。
越谷市の胃がん集団検診の歴史は古く、全国に先駆けて、昭和36年から始まりました。そして、この検診の大きな特色は内視鏡(いわゆる胃カメラ)を用い た検診システムにあります。通常、胃検診はバリウムを飲んで行うレントゲン検査で実施されており、全国のほとんどすべての市町村はこの方式を採用していま す。では、なぜ越谷市では内視鏡で検診を行っているのでしょうか。それには2つの理由があります。まず第1に、内視鏡の高い診断精度が挙げられます。レン トゲン検査は白黒の影絵から診断を行う方法であり、粘膜の色変わりや微細な凹凸から始まる早期胃がんの診断には、肉眼的に直接観察を行う内視鏡検査が有利 です。もう一つの理由として、放射線被曝からの解放があります。内視鏡検査では放射線を使用しませんので、何回行っても人体にはまったく無害です。
越谷市ではこの内視鏡による集団検診を毎年4月に保健センターにおいて実施しています。さらに、市民の皆さんの受診の利便性を考慮し、6月から11月末 まで、市内の医療機関において個別(施設)検診も行われています。個別検診では、どうしても内視鏡検査が苦手な方はレントゲン検査の選択も可能です。
昨年度、越谷市の胃がん検診を受けた方は集団・個別検診合わせて3563人で、このうち85㌫の方は内視鏡による検診を受けており、14人の方にがんが発見され、その発見率は0・4㌫と、全国平均の4倍でした。
現在、胃がんはすでに秦死に至る病紳ではなくなりました。早期がんの状態で発見すればほぼ100㌫治ります。秦転ばぬ先の杖紳、少なくとも年に1回の検診をお勧めいたします。

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