広報こしがや

2015年05月01日

№522 血糖値、あなたは大丈夫ですか? 大袋医院 竹光 秀司

現在、日本には950万人の糖尿病患者がおり、予備群まで含めると2050万人と推計されています。しかし、国民病といえるほど多い病気にもかかわらず、糖尿病が疑われる人の4割近くは治療を受けていません。というのも、糖尿病の初期は自覚症状がほとんどないので放置している人が多いからです。
 糖尿病とは、すい臓のβ細胞から分泌されるインスリンというホルモンが不足したり効きにくくなったりして、血糖値が高くなった状態が長く続く病気です。糖尿病は、なりやすい体質(遺伝要因)に食べ過ぎや運動不足などの生活習慣(環境要因)が重なって発症します。
 高血糖状態を放置しておくと全身にさまざまな合併症が出てきます。糖尿病の治療の目標は合併症の予防といっても過言ではありません。糖尿病の三大合併症は神経障害、網膜症、腎症です。神経障害のため傷の悪化に気づかず壊疽になって足を切断する人は増加しています。網膜症は失明原因の第2位、腎症は透析導入原因の1位です。これら合併症の発症・進行は血糖値をコントロールすることで予防できます。糖尿病と診断された時点で既にすい臓のβ細胞がインスリンを分泌する力は半分に落ちていますから、できるだけ早く糖尿病を発見し治療を行う必要があります。
 糖尿病の治療は食事療法と運動療法が基本で、これらをしっかり行うことで薬物療法をしなくても血糖値をコントロールできる方はたくさんいらっしゃいます。
 薬物療法には飲み薬の治療とインスリン等の注射の治療があります。糖尿病の治療薬はどんどん新しい薬が開発されていて、以前よりは血糖値を下げるのが難しくなくなっています。
 食事療法と運動療法を基本に、薬物療法をうまく組み合わせながら、血糖値を良好に保ち健康な人と変わらない生活を送りましょう。

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