広報こしがや

2015年06月01日

№523前立腺がん検診を受けましょう 越谷泌尿器科・内科 長根祐介

毎日の診療で前立腺がんの患者さんが多くなったと感じる一方、越谷市の前立腺がん検診を受けていない方の多さにも驚いております。皆様、ご家族に穏やかな生活を送っていただくために、前立腺がんのお話をさせていただきます。
 前立腺は、男性の膀胱の下にあり、精液の一部を作っている栗くらいの大きさの生殖器です。前立腺がんは、近年最も増加しているがんです。他のがんに比べると進行が遅く前立腺に留まって発見されることがほとんどで、早期に発見すれば手術や放射線治療で根治が可能です。しかし進行すると増殖、浸潤し他臓器へ転移します。進行した状態で発見された場合は、薬による治療(ホルモン療法、化学療法など)を行うのですが、残念ですが治療を行っても生存率は低くなります。
 我が国の前立腺がんによる死亡数は、約1万2000人で男性がん死亡全体の約5%です。本年3月に国立がん研究センターから発表された、2011年にがんに罹患した全国推計値報告書によると、推計罹患数はがん全体で85万1537人、前立腺がんは男性の前年4位から2位(7万8728人)になりました。罹患率は加齢とともに増加し65歳前後から顕著に高くなります。年齢調整罹患率は1975年以降増加していますが、その理由のひとつは、採血するだけの簡単な診断方法の普及が挙げられます。
 高齢になると前立腺肥大症による排尿困難、頻尿などの症状が出ることがありますが、早期の前立腺がんには症状はほとんどなく、症状の有無だけではがんの判定はできません。検診では、まず血液検査でPSA(前立腺特異抗原)の数値を測定し、これが高値の場合は泌尿器科専門医でさらに必要な検査をしていきます。
 越谷市では平成24年度から前立腺がん検診が始まり4年目を迎えます。今年も6月1日から検診がスタートし、50歳、55歳、60歳、65歳、70歳、75歳の男性の方が受診の対象です。
 対象の方は、この機会にぜひ受診されてはいかがでしょうか?

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