広報こしがや

2016年08月02日

№537 大腸がん・大腸がん検診について 蒲生クリニック 原田 章

「大腸がん」は大腸の粘膜にできる悪性の腫瘍で、粘膜の正常な細胞が何らかの原因で悪性のがん細胞となり、しだいに大腸の壁に深く広がって進行していく病気です。診断時の状態は、ポリープのような早期のものから、腸を塞いでしまうような「進行がん」までさまざまです。大腸がんの自覚症状として、「出血」「下痢や便秘などの便通異常」などが知られていますが、がんがある程度進行しないと明確な自覚症状に乏しく、自覚症状だけで気付くのは難しいと言われています。早期に発見し、治療を開始するのが望ましいですが、平成26年度の報告では「結腸・直腸の悪性新生物」による死亡数は4万8458人と非常に多くの方が亡くなっており、年々増加しています。  大腸がん検診の方法は、便にヒトの血液が混入しているかを、調べる検査で行います。他の検査と比べて負担が軽く、簡便な検査にもかかわらず、早期がんの40~50%、進行がんの80~90%が検出できると言われています。  検査についての注意をご案内します。便の採取時にトイレの洗浄剤が混入しないように採便シートの利用をお勧めします。これは洗浄剤がヒトの血液成分を壊してしまうためです。また、便の採取後に長時間放置すると、腸内細菌や粘液などのために赤血球が壊れてしまうことがあるので、採取後は早めの提出をお願いします。検診実施施設から採取、提出方法をよく聞いてから受けてください。そして、大腸がんを診断するための検査として最も診断能力が高い検査が大腸内視鏡検査です。  ほかにはバリウムを使った注腸X線検査、近年ではCTを利用した仮想内視鏡などの検査を行うこともあります。  いずれの検査でも、前日から下剤を内服、当日に腸管洗浄液を飲用し、便を洗い流してから検査を行うので、準備に時間と手間がかかり大変です。便潜血検査が陽性だから大腸がんがあるとは限りませんが、さらに詳しい大腸検査を行うべき方を判別する検査ですので、陽性となった方は、追加の検査について検診実施施設でご相談ください。

 

過去のホームドクター