広報こしがや

2017年03月01日

№543 痛い病気にご用心!帯状ほう疹と神経痛 おおさと痛みのクリニック 寺田仁秀

「坐骨神経痛が急に出てきて、シップをしたらかぶれました。」  痛みと小さい水ぶくれのような発疹が体や顔、腕、脚のどこか1カ所、左右どちらか片側のみに出たら、まず疑ってほしいのが帯状ほう疹です。痛みと発疹が同時に出ないこともよくありますので注意が必要です。  この病気は子供のころにかかった「水ぼうそう」のウイルスが体の神経に潜んでいて、加齢、ストレス、過労などで免疫力が落ちた時に再活性化して発症します。とにかく痛い! のですが、発疹が出るまでは診断がつかず、さまざまな病気に間違われることがあります。治療は抗ウイルス薬の内服や点滴です。発疹が出てから72時間以内の治療開始が有効です。  皮膚の発疹は2週間ぐらいでほぼ落ち着きますが、問題は痛み(神経痛)です。若い方でも1~2割、60歳以上になると3割以上の方に神経痛が残ります。リスクが高いのは(1)痛みが強い (2)痛みが先に出た (3)発疹の程度が重症 (4)発疹の範囲が広い (5)高齢(60歳以上)です。  特に初めから痛みが強い方はご注意ください。神経痛が長引いてしまうと、治療に難渋することが多くなるので、発症後1~3カ月ぐらいのうちになるべく痛みを抑えることが大切です。普通の痛み止めを使うことが一般的ですが、場合によっては神経痛用の薬や抗うつ薬などを使うこともあります。それでも痛みが強い場合は、神経ブロック注射を行います。これは傷ついた神経に局所麻酔薬や炎症止めの薬を直接作用させることで、痛みを緩和する治療です。  3カ月を過ぎてしまうと帯状ほう疹後神経痛として残ってしまい、非常に治りにくくなります。場合によっては医療用麻薬などを使うことがあります。麻薬というと怖いイメージがあるかも知れませんが、適切に使えば依存は起こりません。他に神経ブロック注射、特殊な装置を使って原因の神経を熱凝固(神経破壊)する治療もあります。これらの方法で痛みを緩和できますが、完治させることは難しいのが実際です。帯状ほう疹になって神経痛が残った場合は、早期にしっかり痛みを取る治療を受けるようにしてください。

 

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