広報こしがや

1999年03月01日

No.318 心筋梗塞 原 直

ピッ…ピッ…ピッ…。心電図モニターのある病院にいるのに気づいた。口の前には、酸素マスクがつけられていた。「あなたは心臓の発作で入院しました。心 筋梗塞(こうそく)です。心臓の筋肉へ血液を送る主な3本の血管のうち1本が詰まったのです。ここは、CCUという心臓病の集中治療室ですよ」と担当医師 が声をかけてくれた。
そういえば今朝早く家を出て駅の階段を早足で登っているときに胸をドカーンと大きなハンマーで殴られたような痛みに襲われた。余りの痛さに立てなくなり このまま死ぬのではないかと思った。その後、救急車に乗せられ、脈の乱れを感じ意識がもうろうとしてきた。遠くで医師の話し声がかすかにした。
あぁ…。最近仕事が忙しく、食後や走ったりすると胸がモヤモヤする感じがあったなあ。昨年の検診で高血圧を指摘され、コレステロールも高いし少し糖尿病 の可能性もあると言われ近所の医院に通院していた。時々左肩や胸の中央が痛んだので狭心症と言われ、発作時に使う舌下錠をもらっていた。「高脂血症、高血 圧症、糖尿病があると要注意だよ。喫煙したり、ストレスがたまったりすると心臓発作を起こしやすくなるよ。アメリカ、イギリス、スウェーデンではコレステ ロールが高いほど心臓発作を起こしやすくなるという統計がでているからね。コレステロールが高いと、血管の内側に粥(かゆ)状のかたまり(アテローム)が でき、血管の内側を狭くして発作を起こしやすくなるんだよ」と、近所の医師が言っていたのを思い出した。
入院して2日目、右隣りに心臓発作で入院した人は足のつけ根からカテーテルという細い管を入れて詰まった血管の血栓を薬で溶かしたらしい。左隣りの人は 以前発作を起こし、その後も時々胸痛があるため、カテーテルを入れて細くなった血管を拡張したそうだ。その他、血管をバイパスする手術もあるそうだ。
幸いにも数日後に一般病室に移り、リハビリテーションを受け退院し、現在は仕事に復帰した。心臓発作を起こし、医師の必死の治療にもかかわらず亡くなったり、病院に運ばれる前に亡くなったりする人もいると聞いた。
心臓発作を起こさないようにするために、医師の注意事項を守り、ストレスをためないように生活していこうとあらためて思うのである。
-ある患者の手記より-
これはフィクションです。しかし、だんだん増えてきているのです。皆さん健康管理を大切にしてください。

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