広報こしがや

1999年09月01日

No.329 肩こり 松田 繁三

「最近肩がこってねえ」とは日常会話の中でよく聞く言葉です。たいていの人が口にするこの症状は一体何でしょうか。
基本的には首から肩甲骨にかけての僧帽筋という筋肉が血流障害のために固くなり、乳酸がたまり、痛みやこり感を訴えることです。一口に肩こりと言って も、その原因は千差万別です。頭の中に異常があってくる肩こり、目の異常(視力低下、乱視など)によるもの、首が悪くてなる場合、実際に五十肩などで肩関 節に炎症があり波及するものなどさまざまです。また、特に忘れてはならないものとして、内臓からくる場合があります。
内臓から肩こりがくるなんて信じられない方も多いでしょう。しかし、人間の体は神経が密につながりあっているためにこのようなことが起こるのです。これ を放散痛と言います。要するに内臓から肩の方に痛みが放散してくるのです。特に中高年にさしかかった場合、注意しなければなりません。
朝起きたら左の首から肩にかけて痛くこるような感じがある場合、忘れてならないのは心臓です。自分の心臓がちゃんと脈打っているか?胸も痛くないか?動 悸がしないか?注意してみましょう。そのうちの1つでもあれば、あなたは心筋梗塞か狭心症を起こしている可能性があります。
また、右の肩がいつからか凝っている、特にぶつけた記憶もない、さらに最近疲れやすい、体が黄色いと言われるなどが思いあたるようであれば、肝臓に注意しましょう。肝臓は右側にありますから、肝がんや肝梗変などがあると右肩の方へ放散痛が来ます。
また、肺に悪いものがあると、右肺の場合は右肩に、左肺の場合は左肩にそれぞれ放散痛が来ます。たばこを長年吸われている方は頭の片隅に置いておきましょう。
もう1つ忘れてはならない肩こりは、突然始まる後頭部から首、両肩にかけての激しい痛みとこり感です。たいてい患者さんは、後頭部が割れるように今まで 経験したことがないほど痛いと言います。このような場合は、年齢を問わず頭の中でのクモ膜下出血などを考慮しないといけません。
そのほかの肩こりは心配する必要はありません。一般的に多いのがいわゆる五十肩です。その中にも細かく分けると、石灰沈着性鍵板炎や鍵板断裂などがあり ます。これらは命には別状ありません。整形外科を受診して、気長に時間をかけて治していくことになります。どうぞ気軽にご相談ください。

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