広報こしがや

1999年10月15日

No.332 薬の使い方(ステロイド外用剤) 皆川 陽美

ステロイドってなにかしら、怖い薬ではと考えていらっしゃる方がいると思います。
腎臓の上に副腎という臓器があります。副腎は副腎皮質ホルモンを出しています。このホルモンは、炎症や免疫の反応を抑える働きがあります。この同じ作用をもつ成分を合成した薬をステロイドと呼んでいます。飲み薬や注射薬、外用剤(ぬり薬)があります。
ステロイド外用剤には、炎症を抑える力が強いものから弱いものまであります。さらに軟こう、クリーム、ローション、スプレー、テープ剤などのタイプがあ ります。どの強さで、どのタイプを選ぶかは使用する部位、症状、年齢、季節、生活環境等で違ってきます。通常はステロイドの呼吸率の違いを考慮して、顔や 首、腋窩(えきか)や陰のう部には弱いステロイドを選びます。高齢者や乳幼児には少し弱めのステロイドを選びます。虫刺されやかぶれ、慢性湿しん等は、強 めのステロイドを選びます。汗をかく所等はクリームやローションを、乾燥している所は軟こうを選びます。頭部にはローションが使いやすく、テープ剤は慢性 の局面等に直接貼りつけて使用します。
塗り方は1日1~3回、病変部の皮膚のみに薄くぬります。塗る回数は皮膚の状態によって違ってきます。塗った上にリント布に他の軟こうを伸ばしてはる方法もあります。
症状が落ち着いたら、弱いステロイドにしたり、塗る回数を減らしたり、やめたりといった調節が必要となります。アトピー性皮膚炎等、長期にステロイド外 用剤を使う疾患はステロイド外用剤で炎症を抑えたら保湿剤(皮膚の乾燥を防ぎ保護をする薬)にしたり保湿剤を広範囲に塗った後、ステロイド外用剤をひどい 所にだけ、使用したりします。
ステロイド外用剤は炎症を抑える強い味方ですが、細かい配慮をせずに使用していくと副作用が出てきます。例えば真菌や細菌が感染しやすくなったり、皮膚 が薄くなったり、皮膚の血管壁が弱くなったりすること等があります。また、長期に使用していて急に中止した場合、症状の悪化が起こることがあります。ステ ロイド外用剤は予防的には使わないで医師と相談して使用してください。

過去のホームドクター