広報こしがや

1997年05月15日

No.279 病原性大腸菌O-157について 高田 博信

昨年の5月下旬岡山県邑久町の小学校で食中毒が発生して以来、病原性大腸菌O-157による被害が多地域で発生し社会問題化しました。大腸菌は腸に常在 する細菌ですが、下痢などの病気を引き起こすものを病原性大腸菌と呼び現在5種確認されております。  そのなかのO-157はベロ毒素と言われる強い毒素を産出することが特徴で、感染したヒトの血管に害を及ぼします。健常な成人では感染しても無症状で あったり、軽い下痢のことがほとんどですが、まれに出血性の下痢が1~2日続いた後、放出されるベロ毒素により腎臓や脳に重篤な障害をきたすことがありま す。また、感染は空気感染や接触感染では起こらず、この菌を保有する家畜あるいは保菌者の糞(ふん)便中の菌により汚染された食品や水を介したり、感染者 によって不衛生に食品を取り扱うこと等による経口感染のみで成立するといわれています。  予防法としては、食中毒の予防の基本を守ることが大切で、次のことに注意してください。①加熱前の食肉類などの食品から、加熱調理済の食品が二次汚染を 受けないよう、調理する前、食事をする前、帰宅後、排便後などは石鹸と流水でこまめに洗い、きれいなタオルで拭いてください。②O-157は75℃1分以 上の加熱で死滅します。調理する時は、十分に加熱し、また生で食べるものはすべてていねいに繰り返し洗ってください。③調理した食品は速やかに食べてくだ さい。すぐに食べられない場合は、冷蔵庫に入れ低温で保存してください。④井戸水や受水槽の衛生管理に注意してください。⑤生肉が触れたまな板、包丁、食 器等は熱湯等で十分消毒し、手も洗ってください。  万一感染していたら家族の方は次のことに注意してください。①患者さんの糞便を処理する時には、ゴム手袋を使用する等衛生的に処理してください。②患者 さんの糞便に触れた時や、患者さんが用便をした後には、流水で十分手を洗い、触れた部分を逆性石鹸等で消毒してください。③患者さんの糞便に汚染された衣 服等は、家族のものとは別に洗濯し、天日で十分に乾かしてください。④患者さんがお風呂(ふろ)を使用した場合には、そのあとの乳幼児の入浴や混浴を避 け、風呂の水は毎日換えてください。以上のように衛生上当たり前のことですが、日ごろから行うことにより大きな効果があるはずです。

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