広報こしがや

2001年12月01日

No.361 片頭痛の治療薬 越谷市立病院 田久保 秀樹

Q片頭痛の治療薬について教えてください。
A片頭痛は、ズキズキと脈と一致した拍動性がある強い痛みが特徴です。若い女性に多く、病名のように片側で痛むことが多いのですが、両側で痛むことも多く、吐き気も同時に認めます。階段昇降で痛みは悪化します。
頭痛の頻度は1年に数回から月に1から、4回程度で数時間から3日ぐらい持続し、通常は一晩眠ると翌日には軽減しています。軽い場合は薬局などで購入した鎮痛剤でも良くなりますが、多くはかなり耐え難い頭痛のために1、2日自宅療養することもあります。
原因は、まだ明らかではありませんが、頭痛がないときには普通の生活ができ、血液検査・CTスキャン・MRI検査でも異常はありません。
従来の片頭痛治療薬は、血管収縮作用をもつエルゴタミン製剤を頭痛発作の前兆時あるいは発作直後に服用しないと効果は十分ではありませんでした。頭痛が 強くなった後に服薬しても効果は乏しかったのです。今夏から、スマトリプタン・ゾルミトリプタンという2種類の新薬が発売されました。これらの薬剤は片頭 痛が強くなってから飲んでも効果があり、吐き気も軽減します。また群発頭痛にも有効で、患者さんにとっては夢の薬と言われています。しかし、狭心症や妊娠 中の患者さんには使えませんし、かぜでおきる頭痛やストレスで生じる緊張性頭痛などには効果ありません。したがって医療機関で正しい診断を受け、副作用に 気をつけて使用する薬剤です。1日に何回も飲んではいけませんし、エルゴタミン製剤と一緒に服用することは禁じられています。
頭痛発作が1カ月に数回以上ある場合は予防作用のあるロメリジンなどを毎日服用して発作回数を減らす努力をします。また、片頭痛は空腹・寝不足・飲酒・ ストレス・月経前後・血管拡張剤や特別な食品などで誘発されます。睡眠を十分にとり、規則正しい生活を送るように心がけましょう。いままでは片頭痛を我慢 していた患者さんも多かったと思います。
今後も良い薬剤が出てきますが、頭痛を起こす病気はたくさんあるので、適切な診断を受けて、治療の必要があるか否か見極めることが大切です。

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