広報こしがや

2002年05月01日

No.366 骨粗鬆症《こつそしょうしょう》について 松田整形外科 松田 繁三

Q79歳の祖母が足の付け根を骨折し、寝たきりになりました。骨粗鬆症が原因と言われました。どのような病気でしょうか。
A骨粗鬆症とは、骨からカルシウム等の成分が抜けて強度が弱くなることです。ちょっとしたつまずきで手足、背骨等を骨折することが多くなります。つまずか ないのに、しだいに背骨がつぶれてくることもあります。高齢者の背中が曲がってくるのはこのためです。寝たきりの原因としては脳卒中についで多く、全体の 12・6㌫が骨折によるものです。急激な高齢化社会の到来により、骨粗鬆症の患者数は1100万人と推定されています。大きな社会問題のひとつです。原因 として、①カルシウムやビタミンDの摂取不足、②車社会の発達等による歩行や運動の不足、③女性では閉経後の女性ホルモン(エストロゲン)減少、④その 他、病気や遺伝的要因等があります。診断は、①骨密度測定(若年成人平均の70㌫以下)、②背骨の骨折の有無等等を考慮し判定されます。
快適な老後を過ごすためには、特に女性において、骨を強くし骨折を未然に防ぎ、寝たきりにならない対策が必要です。治療としては、①カルシウムの摂取増 大…日本人の平均摂取量は約550㎎/日です。以前は必要とされる量が600㎎/日でした。米国で、閉経期から老年期にわたるカルシウム推奨量は1500 ㎎/日とされているのに伴い、日本でも800㎎/日以上の摂取が望ましいという報告が増えています。②日光浴…太陽光線からビタミンDを吸収するためで す。ただし、日焼けは皮膚がんの原因にもなりますので注意が必要です。③運動療法…若いときの運動が骨を強くし、老年期までの骨量に影響することは明らか です。中年過ぎでもひざや腰を傷めない、自分にあった運動を続けることは骨量維持に重要です。④薬物療法…いろいろな薬があります。カルシウム製剤、活性 型ビタミンD製剤、ビタミンK剤、女性ホルモン剤、最近出てきた骨吸収抑制剤等があります。骨吸収抑制剤は、欧米の大規模臨床試験で骨量の増加と骨折率の 減少が明らかとなり、多く使われ出しています。必要な方は、かかりつけ医とよく相談して服用されることをお勧めします。

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