広報こしがや

2002年07月01日

No.368 高血圧症と脳卒中 しもかわクリニック 下川 雅丈

Q健康診査で高血圧症を指摘されました。父が高血圧症から脳卒中を発症しているので私も脳卒中になるのではないかと心配です。しかし、降圧薬は一生飲み続けなければならないと聞き受診をちゅうちょしています。
A脳の血管がつまる脳こうそくと破れる脳出血をまとめて脳卒中と呼びます。日本では脳卒中はがん、心臓病に続いて3番目に死亡率の高い病気です。幸い死を 免れても寝たきりになる患者さんが大勢います。日本には約130万人の寝たきり患者さんがおりますが、その約3分の1は脳卒中が原因です。そして、血管に 強い圧力をかける高血圧症はこの脳卒中の最大の原因です。アメリカで行われた臨床研究によると高血圧症を無治療で放置するとほとんどの方が10年以内に脳 卒中や心筋梗塞で倒れます。逆に早期から血圧を適切にコントロールすれば、これらの病気をかなり予防できます。
健診で高血圧を指摘されたとのことですが、高血圧症かどうか見極めるには複数回の血圧測定が必要です。まずご家庭で血圧を測ってみることをおすすめしま す。自動血圧計(必ず上腕に巻くタイプのもの)をお求めになって起床時、昼食時、寝る前の血圧を測定してみてください。収縮気圧時(高い方)が135㎜ Hg以上または拡張気圧期(低い方)が85㎜Hg以上の場合は高血圧症の可能性が高いので高血圧症の専門医(神経内科、腎臓内科、代謝内分泌内科、循環器 内科など)にご相談ください。高血圧治療の第1歩は生活習慣の改善(定期的な運動、肥満・ストレスの解消、節酒、節煙、食塩摂取量を減らすなど)です。生 活習慣の改善だけでは不十分な場合や生活習慣の改善が困難な場合には降圧薬を使います。その場合も早期から適切に治療すれば数年以内に降圧薬を止められる ことも多いのでちゅうちょなさらないでください。それよりも脳卒中になる方が断然恐ろしいのです。また、降圧薬を使用する場合は血圧の適切なコントロール のためにご家庭での血圧測定が大切です。
そしてもしも「脳卒中かな」と思ったら、直ちに神経内科または脳神経外科を受診してください。脳卒中は発症短時間以内に適切な治療が開始されれば、決して直らない病気ではなく、後遺症も軽減できます。

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