広報こしがや

2002年11月01日

No.372 妊婦と喫煙 菅原レディースクリニック 寺内 博美

先進国の喫煙者傾向に反し我が国、特に女性の喫煙率は徐々に増加傾向にあります。喫煙は受動喫煙も含めて身体にさまざまな影響を及ぼすことが報告されて います。女性特有の影響として、近年増加傾向にある不妊症や月経不順、早期の閉経などが報告されており、それに伴う精神的、身体的、経済的負担も無視でき ません。
また、特に女性の場合、重大な問題となるのは妊娠中における胎児にもその影響が及ぶことです。タバコにはニコチン、一酸化炭素、シアン化合物が含有され ていますが、ニコチンによる臍帯(臍の緒)の血管収縮、一酸化炭素による酸素運搬能障害が低出生胎重児発生の原因として明確に認められており、非喫煙妊婦 と比べて実に2・5倍近い発生率とされています。また、諸外国における調査において流産・早産、前期破水、常位胎盤早期剥離、周産期死亡、先天異常、精神 発育遅延児と3倍程度発生率が上昇するとされています。つまり、妊娠中の喫煙は百害あって一利なしということです。ただ、これらのリスクは、妊娠初期に喫 煙していても、早期に禁煙すれば低下することも報告されています。
また最近、受動喫煙による乳幼児突然死症候群(SIDS)との因果関係が報告されるようになりました。何本なら安全という基準はありません。よって職場や家庭における受動喫煙も含めて「禁煙」の徹底が求められると考えます。

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