広報こしがや

2003年05月01日

No.378 大腸がん検診(便潜血反応)の有用性と限界 藤田医院 藤田 安幸

近年大腸がんは肺がん、肝臓がんと共に増え続けており、その死亡者数は男性で第4位、女性では第2位と近い将来胃がん死を追い抜くであろうと予測 されています。このように増加の著しい大腸がんによる死亡を減少させるために、平成4年から国の施策として大腸がん検診が開始されました。今回はこの大腸 がん検診の有効性と限界について考えます。
Q大腸がん検診はどのように行われているのでしょうか?
A目に見えない微量な血液が便の中に混ざっていないかどうかを食事制限の不要な免疫学的便潜血検査という方法で2日間調べます(一次検診)。この潜血検査で陽性となった人は、内視鏡あるいはレントゲンを用いた精密検査が必要です。
Q検診で潜血反応が陽性でした。大変心配なのですが。
A潜血反応陽性イコールがんではありません。陽性の方に精密検査を行っても半分の方には出血の原因となるような病変は認められないのです。しかしながら、 残りの約2~3割の方にがんに進展する可能性を有する腺腫性ポリープ(イボ)が、また、5㌫前後の確率でがんが発見されますので、精密検査はぜひ受けるよ うお勧め致します。越谷市の検診では約4割の方が潜血反応陽性を指摘されながら精密検査を受けておらず、発見できるはずの多くのがんが見逃されてしまって おり、大変残念です。
Q毎年検診を受けていますが、潜血反応は陰性です。大腸は万全と考えていいのでしょうか?
A残念ながら、進行がんの約2割、早期がんの約5割は潜血反応が陰性絶対に大丈夫とはいえないのです。しかしながら、毎年受けていれば、4分の3以上の方 は究明可能な段階で発見され、受けていない人と比べて大腸がんで亡くなる危険性は40㌫以下に減少する事がさまざまな疫学調査により立証されています。毎 年受け続けることが大切です。
大腸がん検診の有効性は証明されているのですが、いまだ完璧ではありません。腹痛や便通異常、血便などの症状が認められたならば、検診の結果を過信せずに、専門医を受診された方がいいでしょう。

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