広報こしがや

2004年03月01日

No.388 予防接種のおすすめ 桃木診療所 桃木 俊郎

現在、12カ月~90カ月の幼児に実施されている法律による予防接種には、麻疹ましん、風疹ふうしん、三種混合、二種混合(百日咳既感染者に接種)、日本脳炎、ポリオ、BCG(結核予防法による)の7種類があり、接種をうけるよう努めなければならないこととされています。任意で接種するものには流行性耳下腺炎、水痘、インフルエンザ(老人を除く)その他があります。法律による予防接種は全て公費負担で父母のかたがたの金銭的負担はありません。接種条件面で優遇されているにもかかわらず、残念なことに予防接種率の低下による麻疹や風疹の流行が最近問題となっています。
風疹は14~21日間の潜伏期の後に発熱、発疹、リンパ筋腫脹しゅちょうなどの症状が出現し、一般的には軽症に経過する疾患ですが、合併症として関節炎、血小板減少性紫斑しはん病、脳炎、先天性風疹症候群などがあります。昨年、岡山県で風疹の流行があり、風疹ワクチン接種キャンペーンが行われています。
風疹以上に問題になっているのは、麻疹ワクチン接種率の低下と麻疹の流行です。麻疹は、7~14日間の潜伏期の後に、発熱、咳、鼻汁、結膜充血などの症状で発症し、2~3日後にやや解熱した後に再び高熱と発疹が出現し、およそ1週間の経過で軽快します。中耳炎、喉頭炎、肺炎、下痢、脳炎などの合併症のほかに頻度は低いですが、変性した麻疹ウイルスによる亜急性硬化性全脳炎は悲惨なことで有名です。麻疹は、日常の小児科診療の中で診る病気の中では、最も感染力が強く、重篤な疾患の1つで、麻疹ワクチンによる予防が必要です。麻疹に罹患された父母のかたには「死ぬかと思った「」思わず遺書を書いた」とおっしゃる方もいらっしゃいます。数年前に県内で流行があり、多くの患者さんが重症の麻疹肺炎となり、亡くなられた方も少なくありませんでした。
どうかお子様の母子手帳をもう一度お開きになり、予防接種欄をご確認ください。もしも、そこに空欄を見つけたら、お近くの小児科学会専門医にご相談になって、今後の予防接種計画について適切なアドバイスをお受けになることをおすすめします。

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