広報こしがや

2005年09月01日

No.406 C型肝炎 治療の進歩 ひまわりクリニック 朝倉 隆晴

以前、テレビや紙面を賑わせていましたが、森進一さんが治療を受けていると言う、C型肝炎とはどのような病気なのでしょう。C型慢性肝炎とは肝臓に6カ月以上に渡って炎症が続き、肝臓の細胞が徐々に破壊されて行き肝臓の働きが悪くなる病気です。初期にはほとんど症状はありませんが、放置しておくと肝硬変、肝癌がんへと徐々に進行して行きます。原因はC型肝炎ウイルスです。C型肝炎は肝細胞癌の発生原因の7~8割を占めており、持続感染者(キャリア)を含めると日本国内に150万人~200万人いると言われています。この内、医療機関で治療を受けている人は50万人に過ぎません。厚生労働省は2002年から肝炎ウイルス検診を市民検診に加えました。これにより毎年新たに約3万人の感染者が発見されていて「21世紀の国民病」とまで言われています。10年~30年の経過で3~4割の人が肝硬変から肝癌へと移行すると考えられています。
C型肝炎ウイルスは遺伝子の違いにより6種類に分類されます。1b型が日本人に多く約7割を占めます。2a型が約2割、2b型が約1割、それ以外はほとんど認められません。
C型肝炎の根本的治療はインターフェロン(INF)によるウイルス排除であり、完治の目安として治療終了24週後にもウイルス陰性であることをウイルス学的著効(SVR)と定義しています。日本人に多い1b型は高ウイルス量の方が多く、残念ながらこれまでの標準的治療法では著効率は10%~20%と低値でした。更にうつ病などの副作用の面が強調され、週3回の注射に伴う時間的拘束などから治療に消極的な面もあったことは否めません。しかしながら欧米での標準的治療法であるペグINFとリバビリン併用療法が日本でも可能となり新たな展開が見えて来ました。ペグINFは週1回の注射ですむ事から時間的拘束が減り、リバビリンの併用を毎日48週持続する事により、従来難治とされた1b、高ウイルス量の著効率が約50謾と格段に改善しています。また、体重に沿った薬剤の投与量設定の為、不必要な副作用のリスクを回避することも可能となりました。また最近はSVRを達成できなくとも長期ALTが正常化する生物学的著効(BR)を得ることにより肝硬変への伸展の阻止や、INF治療に肝癌の発症予防効果があることも報告されています。このようにC型肝炎の治療も新たな状況を迎えています。
先ずは肝炎ウイルス検診を受け、異常を指摘された方は医療機関を受診してください

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