広報こしがや

2006年05月01日

No.414 側わん症 軍司整形外科 軍司 一誠

側わん症とは、身体の中央部に位置する脊椎(頚椎・胸椎・腰椎)が前後面で側方にわん曲すると同時に、水平面で回旋変形している状態であり、全児童生徒の約1謾にみられるといわれている。側わん症には、不良姿勢や下肢長差などによる機能性側わん症と、先天性ならび病気による原因の分かっている症候性側わん症、原因不明の特発性側わん症がある。この特発性側わん症は全側わん症の約80%をしめ、またその85%が女子である。以下頻度の多い特発性側わん症について説明する。
一般に無症状のため本人が気付くことはまれであり、多くは学校検診や両親・家族・友だちなど周囲の人々の指摘によって気付くことが多い。外見の特徴は、立位で左右の肩の高さに差がみられたり、左右肩甲骨の高さや位置が違ったり、ウエストラインの左右非対称性がみられる。特に腰を前屈した時に一側の肩が下降し、反対側の肩甲骨が背側に隆起していれば側わん症が疑われる。側わんが進行しながら成長することから、若年で発症したもの程わん曲が進行する可能性が高い。早期発見、早期治療が非常に重要である。
診断は、レントゲン撮影像で側わん度を計測する。この側わん度が軽度であれば、一般的に定期経過観察を行う。進行を予防するための柔軟体操とか、背筋・腹筋・腰筋などの強化が大切であり、水泳などは大変効果的である。側わん度が中等度であれば、装具療法を行う。装具療法のポイントは、長時間・長期間の装着に耐えうる装具が作れる病院に行くことである。しかし、多くは思春期の女子であり、装着しつづけることは容易でない。側わん度が重度では、装具療法の効果が期待できない場合に手術的療法が必要となる。
側わん症の大切なことは、真っ直ぐな背骨が曲がるのではなくて、背骨が曲がりながら成長する。女子の場合、14歳から17歳あるいは初潮がみられてから2年間で、成長の終了とともに重症例などの一部を除いて側わん進行は一応の停止をみる。いずれにしても、日頃から子供さんの姿勢には注意が必要である。

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