広報こしがや

2006年07月01日

No.416 ご存じですか「メタボリックシンドローム」 大越医院 大越 恭二

かねてより注目されていました日本版の「メタボリックシンドローム」の診断基準が昨年の4月に公表されました。では、メタボリックシンドロームとはいったいどのようなものなのでしょうか。
これは、内臓脂肪の過剰な蓄積と脂質異常、高血圧、高血糖などが複合した新しい疾患概念です。これを放置し続けると脳卒中や心筋梗塞など生命を脅かす病気を引き起こす可能性が非常に高くなります。40歳以上の男性の2人に1人、女性の5人に1人が該当者か予備軍と言われています 。
診断基準はウエスト周囲径が男性85cm以上、女性90cm以上を必須条件に①中性脂肪150mg/dl以上またはHDLコレステロールが40mg/dl未満②収縮期血圧130mm水銀柱以上または拡張期血圧が85mm水銀柱以上③空腹時血糖値110mg/dl以上、これらの項目のうち2項目以上該当すると診断されます。
日本人の三大死因はがん、心臓病、脳卒中ですが、心臓病と脳卒中を合わせた循環器病を引き起こす原因は「動脈硬化」です。高血圧、糖尿病、高脂血症は「動脈硬化」を引き起こすことで有名ですが、肥満(内臓脂肪の蓄積)があることで更にさまざまな生活習慣病を引き起こし、より「動脈硬化」を悪化させるのです。
それでは「メタボリックシンドローム」と診断されたらどうすればよいか。まずは生活習慣の改善です。食事は間食も含めて、摂取エネルギーを控えることが重要です。40歳以降は食事摂取の栄養分をエネルギーに換える基礎代謝が低下しているので、若い頃と同じように摂取していると体重が増加してしまいます。
そして運動療法です。理想の運動は30分の有酸素運動で、例えば、汗ばむくらいの早歩きなどが良いでしょう。
それから筋力アップも効果的です。筋肉量が増えるとブドウ糖の代謝を促すインスリンが入り込みやすくなるので、インスリン抵抗性(糖尿病になりやすさ)が改善されます。
いずれにしても、まずは自分の現状を把握することが大切ですので、早期に健診なり医療機関を受診して適切にアドバイスを受けてください。

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