広報こしがや

2006年08月01日

No.417 アトピー性皮膚炎について 和光クリニック 坂下 さゆり

Q.アトピー性皮膚炎と診断され、ステロイドの塗り薬と保湿剤を処方されました。ステロイドを1~2日使うと一時よくなりますが止めるとすぐに赤くなってぶり返します。副作用でしょうか。
A.短期間、少量使ったステロイドの塗り薬ですぐに副作用がでることはありません。ステロイドは血管を収縮させる作用があり比較的早く赤みがひくのが特徴です。が、それで湿疹しっしんが治ったわけではありません。薬を止めるとすぐまた赤くなるのはまだ治っていないからです。ステロイド以外の治療薬を処方されることもあるでしょう。まず医師の指示通りに薬を塗ってすっかり炎症を取ってしまい、そしてその後も急に止めずに徐々に薬の強さや量を減じていくのがコツです。保湿剤は、薬を減らすときや皮膚の乾燥の強いときにも薬と併用して使うことができます。湿疹の治った後は保湿剤を使ってスキンケアをし、炎症やかゆみの起こりにくい状態を維持するようにします。
アトピー性皮膚炎は、ある種の遺伝背景のうえに種々の外的要因が加わることにより生じる慢性疾患で、皮膚の過敏性、アレルギー、そしてさまざまな刺激因子が関与することで病態が形成されています。症状も軽症から重症までさまざまで「これさえやっておけばよい」という単純な治療法ではなかなか上手くいきません。かゆいからかくと悪化するし、外から症状が見えるので人目も気になる、日々のスキンケアや環境整備も治療の一環だと心得て気をつけていても季節や生活環境の影響で湿疹が出てしまう…患者さん本人もご家族も、不安感や無力感に襲われるかも知れません。そんなときこそ、日ごろのスキンケアを含めた治療法を見直し、主治医によく相談してみましょう。完ぺきな治療を求めてがんじがらめの治療生活にのめり込むより、生活するのに支障がなければよしとして気長に病気を受け入れていけるように、皆さんの身近なホームドクターにご相談いただければと思います。

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