広報こしがや

2006年09月01日

No.418 反射性交感神経性ジストロフィー 松田整形外科 松田 繁三

Q.手を突いて骨折した後、痛みがひどくなり反射性交感神経性ジストロフィーといわれました。どういう病気ですか?
A.反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)とは、外傷や手術をきっかけに発症する神経の異常過敏性を主とする、難治性の病気です。
初期症状は、例えば手関節の骨折などで、異常に激しい痛みがあり、ギプス等の固定を除去する時期になっても手指の腫はれ・浮腫ふしゅが続き、指を曲げようとしても震えたり、力が入らなかったりします。時に異常な運動時痛や知覚異常、発汗の異常などがみられます。その後、次第に浮腫が硬くなっていき、拘縮こうしゅくへと進展していくことから、適切な処置を施さなければ患肢全体が使えなくなっていきます。
原因ははっきりしませんが、遺伝的素因・交感神経緊張症(手足の発汗亢進こうしん)・冷え性・片頭痛・赤面症・情緒不安定・依存性が高い・愁訴しゅうそが多彩なタイプなどは、わずかの刺激で通常よりも過剰に痛みを訴える傾向が高いと言われています。また、高齢者や更年期の女性に生じやすい理由として、動脈硬化による大脳の変性や、四肢末梢ししまっしょうの循環障害、内分泌の変化などが言われていますが個人差があります。性格などとの関連がいわれていますが、証明はされていません。説として、持続的な痛み刺激により異常な交感神経反射が作動することになり、末梢組織の血流不全などの悪循環が形成されるのではないかといわれています。
治療は難治性なるがゆえに、麻酔科、整形外科、心療内科等でいろんな方法が行われています。まず温熱療法、マッサージなどの理学療法が主体となります。内服薬として、痛み止め、ステロイド剤、ノイロトピンという薬、精神安定剤等を使用します。星状神経節ブロック、硬膜外ブロック等の注射を行うこともよくあります。時間がたっても尋常でない痛みがあるときは、疑うべき疾患のひとつです。早期治療が大事ですので、おかしいと思ったら早めにかかりつけ医とよく相談してください。

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