広報こしがや

2007年03月01日

No.424 線維筋痛症について まくり整形外科クリニック 古小路 和司

線維筋痛症せんいきんつうしょうは一般にはあまり知られていませんが、長期間全身の広い範囲で痛みやこわばりなどが続く原因不明の病気です。自覚症状は全身の関節・筋肉痛、頭痛、こわばり、疲労感、睡眠障害、うつ状態などさまざまで、日によって痛みの強さや場所が変わるため「怠なまけ病」と周囲から誤解を受けてしまうこともあります。リウマチを心配して医療機関を受診される患者さんが多いようですが、症状が多岐にわたるためリウマチ科をはじめ内科、整形外科、麻酔科(ペインクリニック)、精神神経科などのいろいろな科を転々とすることもまれではありません。
妊娠可能な年齢の女性に発病することが多いのですが、初経前や閉経後の女性でもみられます。先に述べたとおり原因は不明ですが、関節リウマチやその類似疾患に併発することがあり、外傷や身体的および精神的ストレスなども発症に関与しているようです。
診断は全身的な痛みが3カ月以上続くことと、米国リウマチ学会が提唱する18カ所の圧痛点を押して11カ所以上で痛みがあるかで判断します。通常の血液検査やレントゲンでは特に所見が無いのも特徴です。
治療は通常の鎮痛剤は効果がほとんど無く、抗うつ剤や漢方薬などがよく使われています。また、ウォーキングや太極拳などの適度な運動も有効です。このほか、認知行動療法といわれる心理療法や鍼しん灸きゅう、マッサージなども行われていますが、いずれにしても決定的な治療ではありません。
この病気は生命にかかわるようなことやリウマチのように関節の変形を来たすことはありません。ただし症状が長期にわたることが多く、患者さん本人が病気に対してしっかりと認識を持って向き合うことはもちろんのこと、ご家族をはじめとした周囲の方の理解、協力があるとかなり症状が落ちつきます。患者さんの会が発足し、ホームページがありますので、こちらもどうぞご参考にしてください。線維筋痛症友の会で検索してください。

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