広報こしがや

2007年11月01日

No.432 スキンケア 保湿の重要性 中井皮膚科医院 中井 太一

スキンケアで、できることは3つあります。(1)清潔、(2)保湿、(3)紫外線防御です。今回は「保湿」について述べたいと思います。
その前に、肌の構造と機能について触れておきます。皮膚は、外から表皮、真皮、皮下組織の3つに大きく分けられます。中でもスキンケアと最も深く関係しているのは表皮です。表皮は4つの層で構成されており、その一番外側が角層です。角層はラップ一枚ほどの厚さで全身を包んでいます。角層の最も重要な働きは「バリア機能」です。外からはウイルスや細菌、紫外線、温熱などの物理的刺激、ホコリ、アレルゲンなど多彩な攻撃が皮膚に加えられます。その攻撃を防いでいるのも、バリアとしての角層の大事な役目です。そうしたバリア機能を助けることが、スキンケアの役目といってよいでしょう。前述のスキンケアでできる3つのポイントも、基本的には角層のケアです。角層の外側には、皮脂腺から出た脂と汗や水蒸気が混ざり合って天然のクリームになっている皮脂膜があります。洗浄は肌の汚れを洗い流すことが目的ですが、同時にこの皮脂膜も取ってしまいます。その取り去った皮脂膜を補って、肌が乾燥しないように元に戻すのが保湿の役割です。
では、保湿剤を塗布するタイミングですが、入浴により上昇した角層水分量は入浴後20分で入浴前と同程度まで低下しますので、入浴後はできるだけ早く塗布した方が良いでしょう。なるべく入浴後10分以内に。また塗布回数は1回より2回の方が有効です。塗布量については、多く塗布した方が保湿効果は高まります。目安としてはティッシュペーパーが付着する程度です。外用方法はしわの方向に沿って手のひら全体を用いて塗ってください。また皮膚を保湿する皮脂は年齢と共に分泌量が変化します。
生後6カ月ごろまでは皮脂の分泌は盛んですが、その後思春期に至るまで非常に乾燥します。思春期以後は男性は50歳代まで維持されますが、女性では「お肌の曲り角」といわれる40歳前後から徐々に減少していきます。エアコンなどにより住宅環境も変化していますので、冬場だけでなく夏場もきっちり保湿してください。

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