広報こしがや

2008年09月01日

No.442 頭痛について 蒲生天神橋クリニック 長谷川 浩一

頭痛は多くの人が経験したことのある病気の一つですが、今まであまり経験したことがないタイプの頭痛が起こったりすると、脳に大きな異常(たとえば、脳出血、くも膜下出血、脳腫瘍)が起こったのではないかと心配になります。脳の検査(頭部CT、MRI)で、異常がないと言われると安心しますが、その後も頭痛が起こると心配になることも多いと思います。そこで、頻度の多い大切な頭痛について説明します。
頭痛患者さんの80%以上は、片頭痛か、筋緊張性頭痛と言われるものです。片頭痛は頭の片側または両側に起こるズキーンズキーンとする拍動性の頭痛です。頭痛の前に肩凝りや頭重感などの前兆を伴うこともあります。症状の軽い人は痛み止め(医師から処方された薬、薬局で売られている薬)で軽快します。症状の重い人(激しい頭痛、嘔吐を伴う人)は痛み止めの効果が期待できません。このため、仕事を休みがちになったり、頭痛がいつ起こるかわからないという恐怖心から友達と遊びに行くこともできなくなります。しかし、最近の特効薬(トリプタン製剤)の登場によりこのような患者さんは少なくなってきました。
筋緊張性頭痛は肩から頭の筋肉が緊張して起こる頭痛です。肩凝り、首の凝り、そして後頭部・側頭部の凝りがひどくなったものと考えてください。この頭痛は適切な薬の飲み方および生活指導により治療が可能です。
もうひとつ注意を要する頭痛があります。いわゆる痛み止めを常用している方に多い慢性頭痛です。月に頭痛薬を5回以上飲む方、朝から前頭部が重い方、痛い方、更年期を過ぎているのに月に数回、頭痛が出現する方は適切な治療が必要です。
最後に、頭痛がない方へのお願いです。頭痛診療は進歩していますが未だに頭痛で悩んでいる人はたくさんいます。仕事、勉強を一生懸命にやりたいのに、頭痛のために度々休まなければならない、人職を失う人もいます。このような頭痛で苦しんでいる人がいるということを忘れないでいただきたいと思います。

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