広報こしがや

2009年11月01日

No.456 おりものって何? 佐藤産婦人科 佐藤 辰之

おりものは、外陰、腟、子宮頚管、子宮、卵管などからの分泌物であり、医学的には帯下といいます。多かったり少なかったり、またその自覚症状もさまざまで個人差が大きいものです。おりものには生理的なものと病的なものとがあります。
1.生理的おりもの(正常なおりもの)は腟の白濁した分泌物と、主に子宮頚菅から出る頚菅粘液が混じっていて、腟内をきれいにする役目があります。白色かクリーム色でヨーグルトのような匂いがします。これは腟内の乳酸桿菌の働きによるもので、この菌は女性ホルモンである卵胞ホルモンの働きによって繁殖します。その結果、腟内は酸性に保たれ、病原菌や雑菌の侵入を防いでおり、これを腟の自浄作用と言います。そのほか、排卵期に生じるものや、性交時に生じるものなどがあります。また、生殖年齢期にはエストロゲンの作用によりいわゆる子宮腟部びらんを形成しておりものの増加がみられ、妊娠時に更に増加することがあります。
2.病的おりもの(心配なおりもの)には炎症性おりものと腫瘍性おりものがあります。
(イ)炎症性おりものにはトリコモナス淋、病尖、圭コンジローマ、クラミジアなどの性感染症によるものと細菌性腟症、カンジダ症、頚菅炎、骨盤内炎症性疾患などの性感染症以外によるものがあります。
(ロ)腫瘍性おりものには頚菅ポリープ子、宮筋腫悪、性腫瘍などによるものがあります。
病的なおりものは外陰、腟、頚菅、ときに子宮内膜や卵管内膜への微生物の感染によって生じます。その誘因としては①子宮腟部びらん、②ペッサリー、子宮内避妊器具、タンポンなどの異物、③粘膜下筋腫、子宮頚がん、子宮体部がんなどの腫瘍性病変のような局所的要因のほか、エストロゲン機能低下や糖尿病などの全身性疾患があります。
おりものは女性の健康のバロメーターです。おりものの異常が重大な病気のサインだったりすることもあります。おりものが気になるときは、一人で悩まないで産婦人科のドクターに相談しましょう。

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