広報こしがや

2013年06月12日

№499 ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎 石川医院 石川茂正

平成25年2月にヘリコバクター・ピロリ感染胃炎に対する除菌治療が保険適用となりました。
 ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎とはヘリコバクター・ピロリ菌(以下ピロリ菌と略します)の感染によって生じた慢性胃炎のことです。
 ピロリ菌は胃の中に生息していて、慢性的に胃炎を起こしたり、胃や十二指腸の潰瘍、胃がんなどの病気の原因になります。
 胃がんのほとんどがピロリ菌の感染によって生じた慢性胃炎から発生します。ピロリ菌の除菌によって胃がんの発生が約3分の1に減少するといわれています。
 また、ピロリ菌は大部分が口から感染すると考えられており、日本人のピロリ菌感染者は6000万人といわれています。50歳以上の中高年者は感染率が高く、衛生環境と関連していることが報告されています。今後、ピロリ感染率が7割を超える団塊の世代が胃がんを起こしやすい年齢に入っていき、放っておくと胃がんになる人がどんどん増えていく恐れがあるのです。
 以上のことから、慢性胃炎と診断されて、ピロリ菌の検査で感染していると判断されれば、除菌治療を受けられるようになりました。
 ただし、健康保険を使って除菌する為には、内視鏡検査を必ず受けなくてはなりません。除菌治療の前に胃がんがないことの確認と、慢性胃炎の診断を受けなければならないのです。
 除菌治療は胃酸をおさえる薬と2種類の抗生物質を1週間服用します。きちんと内服すれば8~9割の人が除菌できます。除菌しても胃がんにならないというわけではありませんので、定期的に内視鏡検査を受けるなどの経過観察が必要となります。
 越谷市では30歳、35歳、40歳、45歳…と5歳刻みの節目年齢に、胃がん検診でピロリ菌感染の有無と、胃がんに成りやすいかどうかが分かる「ABC検診」を取り入れています。
 ぜひ、相当年齢の方は受診されることをお勧めします。

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