広報こしがや

2013年11月08日

№504 COPD(慢性閉塞性肺疾患)について 山口醫院 山口文平

COPD(慢性閉塞性肺疾患)は主にタバコが原因で肺に炎症が起こり、空気の通り道である気道が狭くなる病気です。患者さんの90%以上に喫煙歴があるので、「タバコ肺」ともいいます。40歳以上の約10人に1人がこの病気になると推定されています。全国には500万人以上の患者さんがいるはずですが、実際にCOPDと診断されているのは約22万人で、多くの方々がCOPDであることを見過ごされています。
 「体を動かしたときに息切れがする」「咳や痰が続く」というのがCOPDの代表的な症状です。それぞれの症状は年齢や風邪のせいと誤解されがちですが、40歳以上でタバコを吸っている、あるいは吸っていた方でこのような症状がある場合はCOPDの可能性があります。個人差はありますが、目安として「1日に吸うタバコの箱数(1箱20本)×喫煙している年数」が60以上の方の約70%がCOPDという報告があり、例えば2箱を30年以上吸っているとこれに該当します。COPDでは、酸素と炭酸ガスの交換を行う場所である肺胞が炎症で破壊されたり、肺胞まで空気を送り届ける気道が炎症でむくんだり痰で詰まったりすることで、呼吸がしにくくなっているとされています。
 いったん破壊された肺胞は元には戻らないと考えられているため、以前はCOPDには治療法がないとされていました。しかし、最近では早くから治療を開始すれば、肺機能の低下を緩やかにして良好な状態を長く保つことができると考えられています。禁煙は肺機能の低下を抑制し、死亡率を減少させることがはっきりしているため、治療の第一歩はもちろんタバコをやめることです。次に気道を広げて呼吸機能を改善する薬物療法、症状の急な悪化を予防する各種ワクチン接種、呼吸のリハビリなどを行います。
 COPDの診断には、肺機能検査で息を吐く力が弱くなっていることの確認と、似た症状を起こす別の病気がないことをエックス線検査や心電図検査などで調べることが必要です。40歳以上のタバコを吸われる方で、動いたときに息切れがしたり、咳・痰が続く場合は医療機関にご相談ください。

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