広報こしがや

2014年12月01日

№517 子どもの冬期の感染症(RSウイルス) たかはしキッズクリニック 高橋 勉

冬の感染症の中でもRSウィルス感染症(以下RSV)は0歳の赤ちゃんが重症化することのある病気の一つです。珍しい病気ではなく、1歳で半数以上、2歳までにはほとんどの子どもが一度は感染すると言われています。
 このウィルスに感染すると2~5日の潜伏期間後、発熱・鼻汁・咳などの症状を起こします。赤ちゃんの場合は25~40%が気管支炎や肺炎になり、0・5~2%が入院すると言われています。この病気は何度もかかるのですが、年齢が高くなれば重症化しないのが普通です。
 診断方法には迅速検査があります。以前は入院でしか適用されなかったのですが、今は1歳未満とRSV予防の抗体製剤の必要な病気のお子さんに認められています。RSVの特効薬は今のところありません。予防にしても抗体製剤は未熟児、心臓や肺の病気、免疫不全等のハイリスクの病気のお子さんに使用が限られています。そのため、一般的な注意が大事です。気道分泌物の飛沫感染・接触感染が経路ですので、マスクをして、乳幼児に近づかないこと、手洗いや触れるものの消毒が大事です。また、タバコの煙は症状を悪化させるので注意してください。
 なにより大事なのは、重症化のサインを見逃さないことです。鼻水だけならともかく、赤ちゃんで咳や鼻づまりを伴うと要注意です。母乳やミルクを飲めているかが目安の一つで、飲みが悪いなら受診した方が良いです。またゼーゼーしている場合、肺炎や気管支炎の可能性があるので早く受診しましょう。
 以前処方された薬や他の人の薬を使用するのは良くありません。受診を遅らせ症状を悪化させることになるので危険です。またRSVでは発熱や咳はあまり無いまま重症化し、無呼吸症状・突然死に至るケースもあるので注意が必要です。
 冬に流行する、赤ちゃんにとっては怖い病気ですが、重症化するのは6カ月未満あるいは基礎疾患のあるハイリスクのお子さんがほとんどなので、年齢の高い一般のお子さんはあまり心配いりません。RSVかどうかよりも、重症な症状かどうか見極めることが大事です。

過去のホームドクター